季節は冬。コートを羽織り、マフラーを巻いたって凌げない程の寒さだ。
夏に比べると何故か冬は静かで、住宅街だって閑散としている。
そんな静かな道を、二人で歩く。
あぁ、寒い。冬なんだってことを思い知らされるかのように、吐いた息が白かった。
先に沈黙を破ったのは、オレの弟の方で。
「…寒い」
と、一言だけ言って巻いていたマフラーで口元を隠した。
やっぱり考えることも一緒なのかな。ちょっと嬉しくなって思わず頬が緩んだから、バレないようオレも同じように口元をマフラーで隠した。
横目でちらりと見られたが、気にしないことにする。
変に勘の鋭い弟だから、一体何を考えているんだろうかと気が気でないのが正直な所。くだらないことを考えてるといいな。願うだけ願って、そのまま歩き続ける。特に目的もない、いわば散歩のようなものなんだけど。今じゃオレにとっては散歩だって大事な日課な訳で、学校帰りは必ずだし休日だって一日でも欠かしたらダメなんだ。なんて思ってしまう辺り自分はもう歳かもしれない。あぁでも、健康の為の散歩とかではないから、多分まだ大丈夫。いや、何が大丈夫なんだ。
でもこの日課にもひとつ謎がありまして。なんで祐希がついてくるんだろう。毎日ついてくるけど特に何があるってわけでもないから、本当に、ただ単について来ているだけ。言っとくけど別にやましいこととかないからね。祐希が来るのは全然いいんだよ、むしろ普段動かない弟が歩くようになってくれて嬉しいくらい。だから逆に、ちょっと疑問に思っただけ。気にしなければいいのかな。あ、オレの口癖が"気にしない"になりつつある。
「悠太、どこ行くの?」
「え…」
「え?」
だって、驚いた。
「…珍しいね、祐希がそんなこと聞くなんて」
今まで散歩は2、3週間くらい続けてるし祐希も毎日一緒だった。けど、目的地を聞かれたのはこれが初めてだった。聞かない方がおかしいけど、祐希だから通用しないと思ってた。なるほど、オレの勘違いでした。
「ずっと気になってたよ。でもまぁ、悠太の邪魔しちゃいけないかなぁとか…うん、いろいろ」
そうなんだ…そんなこと考えてくれてたんだ。全く知らなかった。でもたしかに、毎日のように行く場所は変わるし、わからない、気になるってのも無理ないと思う。
「もっと早くに聞いて良かったのに」
オレそんな恐い顔してたかな?と怪訝そうに訊ねれば、祐希に笑われた。実際、顔の筋肉が若干動いただけなんだけど。
「そうじゃなくてさ、悠太楽しそうだったから」
「楽しそう…って、オレが?」
「うん」
即答…。うーん、歩いてただけなのにそんなに表情に出てたかな……。
「あ、ちなみにオレがついて来てるのは悠太をいろんな危険から守る為なんで」
そこんとこよろしく、なんて言ってまた黙り込んでしまった。
ふーん、そんな理由だったんだ、初耳です。危険も何も、オレはそんなに守られる程弱くないと思うな、なんて言わないけどね。
「祐希ありがとね」
「いやー……、うん」
ちょっと不満そうな祐希の顔が気になったけど、ここはオレの口癖の出番でしょう。
気にしない。(オレの気持ちは気にしてよ、)------------------
うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁんすみませんんんんん!!!!!全然リクエストに沿えてなくて…!本当もう書き直しエンドレスで受け付けますんで…!
みゆさん、煮るなり焼くなり好きにしてやってくださいな!
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