「あー疲れた…」

部活でクタクタになった身体を並べてローと帰る放課後。学年トップの成績をキープしつつ、ちゃっかりバスケ部とかいうモテ部活でエースを務めちゃってるロー。

「疲れたってお前、不味い飲みモン作ってただけだろ」

「はあ?!マネージャーだってたいへんなんですけど!!」

そう、私はてっきりこの幼馴染は帰宅部だろうからと、自分の部活なんて全く考えていなかった。それなのによりにもよってバスケ部を選んだ、正しくは先輩達に引きずられたローに、これはやばいと慌てて一緒に入部したのである。今のスペックに加えてバスケまでこなされてしまったら…。私に選択肢はなかった。

「スコア書いたり、タオルとユニフォーム洗ったり色々あるんだから!」

「それ、名前はできてるのかよ」

「むしろ率先してます!ロー達が快適に活動できてるのは私のおかげと言っても過言ではないです」

「いやそれは過言だろ」

「…あんたの差し入れだけ梅干し入れてやる…」

「はあ?やめろ!入れたらわかってんだろうな」

そんなの知るか!
べーっと舌を出せばカチンときたのかひくりとローの口の端が動く。

「てめェいい度胸だな…」

「そうじゃないと、どっかの誰かさんの幼馴染は務められませんからね!」

「そうか。今夜の夕ご飯はおれの家で豪華なはずだったのに…お前は1人でコンビニ飯か」

「ん…?なにそれ」

初めて聞いた情報に思わず反応する。今日は確かに私の両親は仕事でいない。そうなるといつもはそれこそコンビニでご飯を買うか、ローのお家で食べたりするけど。

「母さんから呼べとメッセージが入ってた」

「えー!やった!嬉しいいくいく!」

「ククッ…単純なヤツ」

自分でもそう思うが、速攻で機嫌が直るのはしょうがない。だっておばさんの料理はそれはそれは美味しいから!

浮き足立って歩みを進める私を、後ろから幼馴染が優しく見つめていることに最後まで気付くことはなかった。