後ろから、さ(五条)*


「8戦で5勝、5カートン。まあまあだな」
「硝子、寝タバコするなら自室でやってくれ。火事はごめんだ」
「はいは〜い。女子寮から男子寮まで燃やし尽くしてやる」
「怖っ。悟、なまえはこのままここで寝かせておこう」
「じゃっおやすみクズども。なまえに手出すなよ」
「オマエがいちばん危ねーよ」


「んーーーー……ん」
水底から浮上した瞬間のように、急速に目が醒めた。やばい、寝てた。大富豪は?中々良い感じだったはず。8切りして……

「……あ、おはよ?じゃねーな、まだ3時だし」
「おわっ!」

目の前に悟の青い目と白い頬が広がっていて、思わず息を呑む。不意打ちされると今でも見惚れてしまうくらいに綺麗な顔だ。

「んだよそのオッサンみてーなリアクション……キャッ!イケメン!とか言えよ可愛くねぇー」
「うざっ、うるさっ。硝子と傑は?」
「シンプルな悪口言うな。硝子は部屋戻って、傑はコンビニにジャンプ立ち読みしに行った」
「もう月曜か。え、3時?……悟ずっと私の寝顔見てたの?趣味悪っ、怖っ」

傑のベッドで、悟と向かい合って寝ているこの状況と、起き抜けに悟に見惚れてしまった自分が恥ずかしくて、照れ隠しから早口に捲し立てた。冷静になってみると、悟の左手は私の投げ出された右手を握っている。悟の足は、私の足と絡んでいる。悟の目が、私を静かに見ている。

「……だろ?趣味悪いんだよ俺。ずーっと見てた」

大きくて丸い、綺麗すぎる目をスッと細めて妖艶に笑う。悟はずるい。普段は子どもみたいに変顔ばっかりするくせに、こういう時にだけ自分の美しさを最大限に利用する。

「なまえ、傑に髪の毛触られて気持ちよかった?何だよあれ。すげー妬けた。イチャつきやがって」
「そんなんじゃないよ。ていうか悟、あのとき足で変な所触ろうとしてきたでしょ」
「悟くんがなまえちゃんをもーっと気持ちよくしてやろうかと」
「……足では嫌だよ」

その言葉の意図を汲み取って、きゅっと口角を上げた悟は、私に馬乗りになる。耳元に唇を寄せ、ふぅと息を吹きかけてきた。

「言質とった。足以外ならいいってことね」

細い指に顎を取られ、啄むように2回、口付けられる。悟の舌が入り込み、ちゅ、と優しく舌を吸われ、唇の内側と内側を擦り合わせてからゆっくりと熱い舌で舐められた。悟のキスは柔らかくてあまくて、生クリームみたいだ。伏せられた長すぎるまつ毛を見つめていたら、それに縁取られた青い瞳と視線が合った。ニヤっと笑ったのを合図に、背中を這っていた悟の手が下着を器用に外し、乳房の横を指先で撫でる。


「っは……さとる、んん、」
「まだキスしてるだけじゃん。なまえやらし」

は、と楽しそうに息を吐いた悟に、部屋着のTシャツを捲り上げられる。悟の肌を感じたくて、手を伸ばし彼のTシャツを半ば無理矢理に脱がせた。

「わお、積極的〜。でもオマエは服脱ぐなよ。ここ持ってろ」

悟の指示通り、自分のTシャツの裾を捲り上げて自分で持つ。悟に向かっておねだりをしているような格好に羞恥心を覚え、自然と息が上がった。

「手、離したらやめるからな」

悟の唇が、乳房の先端をかすめる。緩い刺激に身体が震えた。そのまま舌で先端を弾き、しゃぶるように甘く吸われる。

「ぁ、んん、」
「しー……声我慢しろ」

ちゅ、ぢゅ、と水音を立てながら舌を緩慢に動かされ、軽く甘噛みされ、揺するように先端を扱かれるともう耐えられなかった。もっと触ってほしい。悟が欲しい。めちゃくちゃにしてほしい。

「さとる、気持ちいい……ねえ、むり。したい」
「俺もしたいけど、ここ傑の部屋」
「悟の部屋、いこ」
「……やだ」

ニィ、と、最高のイタズラを思いついた子どものような顔で笑う悟が、私の手を引く。さっきまでみんなで大富豪に興じていたローテーブルにうつ伏せで手をつかされると、後ろから覆い被さってきた悟の手が、器用に私のショートパンツと下着を脱がせた。

「待って、ここでするの?」
「ここなら汚しても拭けばいいだけだろ、下に俺のTシャツ敷いたし」
「うそ、ちょっと、傑戻ってくるよ」
「大丈夫大丈夫、なまえの頑張り次第ですぐ終わるから」

ふざけた口調とは裏腹に、悟の長い指が優しく体内に侵入してくる。膣壁を撫でるように奥まで入った指が、クッと良い所を捉えた。

「ぅあ、やばい、悟、そこ、んん、ぅ」

ぐちゃ、くちゃ、と水音が響く。後ろから耳を舐められ、指で中を擦られて、水音がどんどん大きくなるのが自分でも分かった。

「なまえもうぐっちゃぐちゃじゃん。傑に髪の毛触られるのとどっちがきもちー?」
「っ、ん、それは、全然、ちがっ、あ」
「ね。俺、実は結構怒ってんだけど」

悟が低い声でそう呟いた瞬間、指が引き抜かれ後ろからに一気に貫かれた。

「あぁ!っん、さと、る、あ」

根元まで突き入れられて、ゆるゆると揺さぶられる。先端がお腹の奥に当たって、泣きたくなるくらいに気持ちがいい。ぐ、と腰を掴んで奥まで押しつけてくる悟の動きが堪らなくて、もっとしてほしくて腰を前後に揺する。

「なまえの中、あっつ。きもちー……」

悟は奥に突き立てるような動きで腰を早める。良い所にわざと先端を押し付けて私を追い立てる悟も、余裕のない息遣いをしている。それに興奮を煽られ、思わず埋没する悟のものをキュッと締めつけた。

「っあ、やば……オマエすぐ終わらせようとしてんじゃねーよ」
「ちが、きもち、よくて、さとるっ、ん、奥、もっと」

悟の方を振り向いて懇願すると、快楽のせいで生理的に溢れた涙がぽろりと頬を滑った。

「……なまえ、ごめんなさいは?」

ぐい、っと髪の毛を緩くまとめていたヘアゴムを引っ張られた。はらりと解けた私の髪を見て、悟は満足げに微笑む。

「オマエさもう傑に髪触らせんな。わかった?……ごめんなさいは?」

まるで責めるように、体重をかけられ奥を突き上げられる。気持ち良すぎて絶え絶えの返事しかできない。

「っ、わか、った、悟、ごめん、なさい、ああ、むり、イく」
「ん、いいこ。大好き。……俺もヤバっ、」

寸前に自身を引き抜いた悟が、私のお尻に熱い飛沫をかける。快楽でじんじんと痺れる下腹部と頭のままローテーブルに突っ伏し、微睡みかけていた私の耳にうわめっちゃ精子出た、と悟の間抜けな呟きが響く。……やっちまった。ここ、傑の部屋じゃん。

「悟、ティッシュ!急いで!あと水飲みたい」
「俺はティッシュじゃねーぞー」

ケケケと笑いながら、箱ティッシュと飲みかけの水を持ってきた悟にお礼のキスをして、素早く服を整える。ついでにテーブルの上も拭いて、換気のために窓も開けた。これで大丈夫、なはず。

「正解だったろ?ベッドでヤッてたらなまえのでびしょ濡れで、傑今夜眠れなかったぞ」
「うっざ、うるさ。ほら部屋戻るよ」
「はいはい。ね、今夜俺の部屋で寝ろよ。女子寮戻るのダルいっしょ」
「いいけど。寂しんぼかよ悟」
「……どっちかっていうと怒りんぼ」
「え、まだ?」

ムスッとした表情をわざと作った悟に、唇を甘噛みされた。そのままひょい、と抱き上げられて、傑の部屋を出る。ちょっとだけ乱暴にドアを閉める悟は、どうやらまだ気が済んでないようだ。






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