ぜんぶあげる*


ついに、この日が来た。

念入りに身体を洗って、ボディクリームも塗った。トリートメントもしたし、何ならお風呂上がりだというのに毛先を少し巻いてみた。色付きリップも塗った。

準備、万端。歌姫先輩から誕生日に貰ったふわふわの可愛いパジャマを着て、私は今、悟の部屋の前に立っている。


「えっ!なまえスターウォーズ観たことねえの?!」
「うん。何だかんだきっかけが無くてさ」
「マジか、ありえねえ。そんな奴いるんだ」
「傑と硝子にもそう言われた。悟も観たことあるか〜!私、ますます観るきっかけないじゃん」

悟は意外と映画好きだ。一緒に観られたらいいななんて思ってたけど、仕方ない。

「でも俺、観たの結構前だし。今夜観ねえ?俺の部屋で」

語尾が小さくなった悟の発言を反芻する。今夜、俺の部屋で。今夜、悟の部屋で。そこに込められた意図を読み取ってしまい、火がついたみたいに顔が熱くなった。

小さい声でなんとか「いいよ」と返事をして、チラと悟を見る。「じゃ21時な」と言って立ち上がる悟の耳も、火がついたみたいに真っ赤だった。



21:05、震える手で悟の部屋をノックをする。お宅訪問は5分遅れて行くのがマナーと何かの本で読んだ。一応キャラメルポップコーンを持参してみたものの、胃が口から出そうなくらい緊張している。とても物を食べるような状態ではない。キィ、とドアが開いて、不自然なくらいにぶっきらぼうな顔をした悟が出てきた。

「よっ。遅かったじゃん」
「お宅訪問のマナーは5分遅れていくもんらしい」
「へー、でもピッタリ5分なのオマエらしいな」

悟がケタケタと笑い、入れよ、と言いながらキャラメルポップコーンを奪い取ってくる。良かった。いつもの悟だ。




『スターウォーズ エピソード4/新たなる希望』の再生を終えたテレビ画面は、真っ黒ながらも仄明るく室内を照らしていた。

熱い吐息が耳にかかる。悟の手がおずおずとパジャマのジッパーを下げ、優しく胸に触れる。初めての感覚と羞恥に思わず吐息を漏らすと、悟が私をぎゅっと抱きしめた。

「痛かったり、怖かったら言え」
「う、うん」
「……なまえ、大好き」
「……私も」

あまりの幸せに緩んだ唇に、悟がキスをしてくれる。お互い舌を絡め、唇を柔らかく吸う優しいキスにうっとりとしていると、ぎこちない手つきでパジャマと下着をずり下ろされる。胸の突起に悟の舌が触れると、お腹の奥が熱くなるような快感をおぼえた。

「ぁ、っあ…ん」
「おい。なまえ可愛すぎる」

やべえ、と呟く悟に、そのまま胸を飴玉のように散々舐められ続けた。意を決したように悟の指が秘部へ降りてきた頃には、そこはもう充分すぎるほどに潤いを湛えていた。

ぬる、と指が滑った感覚に悟が動きを止め、心底嬉しくてたまらないといった顔をする。あまりの羞恥心から、悟の表情を見ていられなくて思わず顔を手で覆った。

「すげ、びっしょびしょ。……良かった」
「良かったってなに、私は恥ずかしくて死んじゃいそう」
「怖がらせるんじゃないかって不安だったから、嬉しいんだよ。わりーか」

照れ隠しでわざと不貞腐れたような表情を作る悟に、胸がいっぱいになる。私はこの人のことを、心の底から好きだと思った。

羞恥心を抑え勇気を振り絞り、「もっとして」と囁くと、ゴクリと息を飲んだ悟が自身に言い聞かせるように「優しくする」と呟いた。押し広げるようにぐ、ぐと指が二本、膣内に侵入してくると鈍痛に思わず顔をしかめてしまった。悟が私の頭にキスを落とし、あやすように肩を叩く。

「慣らさねぇともっと痛いらしい。ごめん」
「ん、大丈夫」

悟の指が膣壁を撫でるようにゆっくりと動く。そのままやわやわと出し入れされ、親指で秘部の突起を擦られると、痛みと同時に快感がはしり、背中がしなった。


どのくらいそうしていただろう。痛みよりも快感が大きくなってきて、壊れた機械のように喘ぎ声が漏れてしまう。悟の指を奥まで咥え込んで、大きな水音を響かせてしまう羞恥に頭がおかしくなりそうだった。

ぬぷ、と指が抜かれ、悟にすっぽりと抱きしめられる。秘部に悟のものが充てがわれ、その先端で蕾を上下に擦られる。痺れるような快楽に涙が出てきて、「さとるぅ」と懇願するような声が漏れた。それに答えるように私の額に優しくキスをした悟が、そのままぐっと腰を進める。

押し広げられるような甘い痛みとともに悟が体内に割り入ってきた。時間をかけて全てを埋めた悟が、甘い吐息を吐く。

「ぅっわ、やべー……なまえの中、気持ちい」

うわごとのようにそう呟き、快楽に陶酔しきった顔の悟がゆるゆると腰を動かす。その度に引き攣るような痛みが走ったけれど、悟が気持ちいいと言ってくれる事が嬉しくて、幸せで、ちっとも辛くなかった。

「ん、あ、あっ、さ、とる、ぁ」
「やば、ごめん、気持ち良すぎて止まれない」

散々指で解された膣内からは、出し入れされるたびにぬちゃぬちゃと水音が響く。悟のものがお腹の奥まで届いて、痛みの奥に少しだけジンジンするような快楽を見つけた。その快楽を追いかけるように、私は無我夢中で腰を振る悟にしがみついた。

「っ、あ、俺もうイく、」
「ぁ、んん、さとる、外、出して」
「っは、」

引き抜かれた悟のものから、びっくりするくらい精が溢れて、私のお腹を汚した。

しばらく目を閉じてうっとりとしていた悟が、驚くような速さでティッシュを引き抜きそれを拭う。ゴロンと私の隣に横たわると、強く抱き寄せられ顔中にキスを落とされた。


「我慢してくれてありがとな。……もう俺、ほんとなまえの事好き、大好き」
「幸せだったから大丈夫。……私も大好き」
「おい、可愛いすぎるからやめろ」
「さっきの悟の方が可愛かったよん」
「オッマエ、調子乗んなよ!」

悟はわざと変な顔をして、私の鼻先にかぷっと噛み付いてくる。さっきまでの快楽に浮かされた、少し切ない表情の悟とは別人みたいだ。あんなに余裕のない悟の顔を見られるのはこの世で私だけだと思うと、幸せのせいで鼻の奥がツンと痛んだ。

「悟、大好きだよ。……またしようね」
「おい、だからさぁなまえ、それわざとやってんの?」

はぁぁあ〜と盛大に溜息を付いた悟に抱きしめられながら、悟の鼓動を感じていると眠気が襲ってきた。

「明日はさすがにキツイか、じゃあ明後日?」
ぶつぶつと独り言で次回の計画を練っている悟の声が遠くなる。明後日もキツイけど、してもいいよ。明日の朝、悟が起きたらそう言ってあげよう。





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