「鉄線よ、我君を愛す(11)-9」





足を投げ出すように座している十四郎に、腰を引き寄せられ、口付けが深くなる。
まるで人形のようにやすやすと抱きよせられた。
「ん、痛、もそっと、緩めて、くだせ」
胡坐をかく十四郎の腿に跨る総悟の腹が十四郎のそれに押しつけられ、その懐かしい肌の感触をうっとりと感じる。

「お殿様が、色小姓の身体をくまなく検分してやる」
十四郎の舌が、首筋を伝い、鎖骨の窪みを撫でて、その下の桃色に到達する。
色づいた皮膚も、酷く扱われた為に薄皮が剥けていたが、それも元の美しい乳に戻っている。

「あ」
優しく舌で天辺をつついてやると、総悟が小さく鳴いた。
すぐに強く吸いついて激しく舐めしゃぶってやる。
「んっ、は・・・は・・・」
総悟の腰が、十四郎の腿の上で撥ねる。
焦れたように腰をくねらせて十四郎を誘った。
「も、と・・・強く、吸うて・・・くだ、せ」
息を上げながら、己の中心に手をやって、扱き上げる。
「淫乱だな」
小さく笑って総悟を抱え直すと、白い尻の中心を指でまさぐった。
「んっん、あ、あ、ああ・・・」
「殿様を置いて手前だけ気持ち良くなりやがって」
尻から手を離すと、総悟の手の上から自慰を手伝って一緒に擦る。いじらしい陰茎がびくびくと震えて固くなった。
「ん、あ、先・・・痛・・・」
「ここか」
ぐ、と先端に蓋をするように親指で抉ると、総悟の身体がビク、と撥ねる。
乳でも絞るように、先端から先走りを押しだして、その液をもらった右手が再び尻の間に移動した。

「そっちを手前で弄ってな」
両手で左右の尻をぐいと広げて、滑った中指で、菊門をゆっくり解してやる。
密集した皺の中心に十四郎の指が入り込む度に、総悟が泣き声を上げた。
「ひあっ・・・あ」

いつの間にか十四郎自身もくっきりと立ち上がり、向かい合った総悟の屹立の根元と袋に、下方から断続的な刺激を与える。
「あっ・・・あ、あ・・・」
「腰を浮かせろ」
十四郎の言葉に、膝立ちになって尻を浮かせると十四郎が己の怒張の上に、総悟の尻を持ってきた。
「あ、あっ、」
解し足りない入口をこじあけようと、熱く太い芯棒がぐいぐいと押し上げて来る。
両手を十四郎の肩に置いて、押される度に逃げ腰になる総悟のてらりと光った乳首に、再びしゃぶりつくと、総悟の身体が大きく揺れた。
「やあっ・・・あ!!」
「お前の中に入り込みてえってこいつがやかましいんでな。入れてやってくれるか?」
「や・・んな、に・・・気持ちわりっ、、言い方、しね、で」
れろれろと胸の尖りを押しつぶしながら総悟の顔を見上げると、快感と羞恥に頬を染めながら壮絶な色香を放っている。

「手前で入れて見ろ」
言うと、素直に尻を己で必死に動かして角度を探し始める。
十四郎の唇が柔らかく緩んだ。

「そうだ、そのままゆっくり腰を降ろすんだ」
真下からそびえる十四郎を迎え入れる為に、足を大きく開いてしゃがみこむ形になり、総悟が羞恥のあまり声を上げた。
「嫌だ・・・こんな恰好、嫌でさ・・」
「うそつけ、淫乱になって帰ってきたんだろうが、入れろ」
十四郎がうれしそうに己を擦りつけると、総悟の背中にびりびりとした快感が走った。
「いやあ、ああ、、いれ、て・・くだ、せえ」
「お前が入れるんだ」
「う、ふっ・・・うう・・・」

とうとう意を決したのか総悟がゆっくりと腰を降ろし始めた。
先程から総悟に焦らされていたので、十四郎の先走りも手伝って先端がぐにゅりと入り込んだ。
「んんっ」
「オラ、まだまだだろうが」
先だけが入った状態で十四郎が腰を揺らす。
あわや抜けそうになって総悟がきゅ、と己を締めた。
「あ、あ・・・」
「もっと力を抜け、思いきって腰を降ろすんだ」
ここへ来て、未だおずおずと腰を降ろそうとする総悟に痺れを切らせて、十四郎が白い両肩に手を乗せてぐいと押し込んだ。
「ひあああっ、う」
威風堂々たる張りつめた剛直が、総悟を貫いた。

「ああ、、あ、あ、あつい・・・あつい・・と、しろう、さまっ」
どく、どく、どくん、と心臓のように熱く脈打つ十四郎が、総悟の中いっぱいを満たした。
「お前が動くんだ」
「あ、待って、駄目・・・動け、ねえ」
「動ける、ほら、そんなに締めつけると、お前を満足させる前に気をやってしまうぞ」
「うう、う」
必死に総悟が自ずから腰を揺らし始めた。己の身体を貫く楔のあまりの固さと太さに、つい括約筋を精一杯締めながら抜き刺しをしてしまう。
「てめえ、どこでそんな手練を覚えてきやがった。武蔵か?」
「ああ、違う・・・嫌・・」
いやらしく腰を前後に揺らしながら抽挿を繰り返す総悟の淫猥さに、視覚からも性器からも興奮を与えられ、十四郎の眉が寄った。
「ひっ、ひっ・・・ひぁっ・・・あぁああ、やあ・・」
「嫌だ嫌だと言いながら、きっちり手前の良いところに己で擦りつけていやがるんじゃあないか」
「あ、ああ、やあっ・・・だって、と、しろっ・・・さま・・・がいいっ・・・だ、から」
ずぐ、と十四郎の質量が増した。

「やああっ!」

十四郎が、己の右肩に総悟の左足を抱え上げて腿をひと撫でする。
ふくらはぎを担ぎ、左手は総悟の右尻をわし、と掴んだ。

「いくぞ」
言うが早いか、十四郎が己の腰をがんがんと貪欲に打ちつけ始める。
「んあああっ、ああ、あうっ、あ、あ、あいっ!」
濡れきった後孔がじゅぼじゅぼと音を立てた。
総悟の快感を引き出す一点を確実に探り当てて、容赦なしに突きあげる。
「あっやっ・・・そこ、やっ・・・そんな、ああひっ・・・」
「嫌じゃねえんだろ?」
「つよ・・つよく、、しねっ・・でぁあっ・・・あ〜はぁああ・・はあっ・・」
目の焦点が完全に合わなくなって、唇の端から光る糸が流れ落ちる。
揺さぶられる度に、汗に濡れた前髪が、ばさばさと撥ねた。

「も、うっ・・・もう・・だめ・・・ああ・・あ」
目いっぱい広がった入口とそれに続く内壁が十四郎の肉棒をぎゅうぎゅうと締めつけ、得も言われぬ快感を与え続けていた。
「う・・・俺よりも、先に、気をやってしまうんじゃあねえぞ」
「ひあっ、あ、あ」
聞こえているかどうかもわからない。十四郎はおもむろに総悟の前をぎゅう、と掴んだ。
「ああああああっ」
あまりの苦しさに、総悟がばちばちと十四郎の肩を叩く。
「やめっ、、やめて、さわ・・んねっ・・・でぇあっ、あっ・・」

「俺が先だ」

その声を聞いて、総悟がぼやけた瞳で十四郎のそれを見ると、漆黒の澄んだ眼球が、激しい性交の最中穏やかにこちらを見ていた。

「ンッンッ、そう、ご」
尻が破れてしまうのではないかというほど激しく付き上げてしまうが、己とて何年も待った。
手加減などしてやる余裕は無かった。

二人の汗が飛び散って夜具に染み込む。
「ああ、あああっ、ああっん、んあっ」
「う、くそ・・・い・・く、ぞ」
尻肉が歪む程に強く掴んで、最奥のしこりをずん、と突いてびたりと動きを止めた。
次の瞬間、総悟の腹の中に二年越しの熱い種が撒き散らされた。
「ふぁああ、あああっ」
同時に十四郎も総悟を戒めていた手を離して扱きあげてやると、すぐに白濁を吐きだす。
姿勢を保っていられず、後ろへ倒れ込もうとするのを、十四郎が支えてそっと寝かせる。
萎えた己を総悟の中に挿れたまま、総悟の上に覆い被さって情人を見下ろした。

「やああああ、あああ、ああ、、」
びくびくと信じられないほど長い時間痙攣する総悟。
瞳は何も映しておらず、半開きの唇からどろりと唾液が零れて来た。
絶頂の深さを表すその姿に、十四郎の口角が上がった。

「総悟」
未だ意識も混濁している少年に、愛おしそうに口付ける。
ちゅ、と音をさせて唇を離した時、総悟の目が、うっすらと光を取り戻した。

「ん、あ・・・・あ・・と、しろ、さま・・・」
「善かったか、総悟」
「ん、す、・・・ご、かった・・で・・さ」
はぁ・・・と余韻に浸って息を吐く総悟。
快感の涙が、しっとりと流れた。

「そうか、じゃあ二本目な」
十四郎が総悟と繋がったままの秘部を、いやらしく撫でる。
「・・・嘘でしょ」
「嘘なものか」
「今ので十たび分くれえ消費しやしたぜ、体力」
「今宵は暁までだ、覚悟しろ」
「んなっ、い、いてっ、なに、何デカくしてるんでさ!あっ、ああっ・・・」
むくむくと大きくなる十四郎自身に応えるかのように、総悟もきゅうと締めつける。

「一度気をやったから、今度は長いぞ。」
「なっ、アンタ・・・」
不平を口にしようとした総悟だったが、己を見下ろす十四郎のすさまじく優しい笑顔と色香に、何も言えなくなってしまった。




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