「鉄線よ、我君を愛す(10)-7」





かさかさと小屋の隅を小さな鼠が走り抜ける。

丸一日の長い凌辱がやっと終わった。
しかし男達は総悟を自由にすることはせず、小十郎の指示のとおり元のように両腕を一纏めにし、裸体のまま歯車に縛り付けた。
そうして各々自らの寝床へと帰って行った。
小十郎などは途中からあくびを何度も噛み殺し、男共に「もう今日は終いにしろ」などと言って、総悟を逃がさぬようきつく言い含めて帰って行った。

今、この水車小屋に総悟ただひとり。

静かな小屋の中で、しろしろと小さな音がする。
総悟の股間から小水が流れ出る音だった。
ほぼ一日用足しに行くことも許されず滅茶苦茶に犯された為、溜まりに溜まった膀胱から信じられないほどの量が噴き出される。
小水は総悟の両腿を濡らし、そのまま歯車の下へ落ちるものもあれば膝を伝いくるぶしを通って床に落ちるものもあった。

ツンと鼻をつく匂い。
しかし男達の排泄物やら尻の穴を舐めさせられ続けた総悟にとって、何程のものでもなかった。

ただ、身体中に残る精液や小便、特に数え切れぬほど男を受け入れた箇所は、後始末もしてもらえずべっとりとそれらがこびりついている。
己の小便も上塗りされた今、時間が経つほどに白い肌が赤く腫れてかぶれ出し、ひりひりとした痛みを生んでいた。

『ああ・・・・俺ァ・・・どうあったって小十郎の鼻の穴に、馬糞詰め込むまで死ねねえや・・・』
そう思いながらも意識が途切れまた途切れし、身体中の痛みと疲れによって、このまま永遠に眠れた方がずっと楽なのではという考えがちらりちらりと頭を掠めるようになった。


その時。
音も無く暗闇がごそりと蠢いて、この状況を作った元凶の銀髪が、ひたりと帳の中から姿を現した。

「やあ、総悟ちゃん」
灯りもない真っ暗闇の中で、月明かりだけをたよりに白い歯がにっこりと浮かび上がる。

「これはまたひどくやられたね」
何が可笑しいのか己の人差し指を唇の前に立てて笑顔のまま近付いてくる。

「て、めぇのせいで、こちとら・・・えれぇ目に・・・」
「うわ・・・・べったべた」
再び歯車に張りつけられた全裸の総悟の尻を抱え上げて腿やら尻を撫でまわす。
「よいしょっ、と」
両足を脇に抱えこむと、おもむろに挿入角度を探し始めた。
総悟のやつれきった瞳と、銀時の視線がねっとりと絡み合う。

「俺もせめて一発は、やっておきたいもんで、ね。よろしく総悟ちゃん」
言うが早いか、銀時の使いこまれた鉄の様に固い逸物がずぶりと侵入してきた。

「ううっ・・・」
先端近くの包皮下に、なにか粒のような物が埋め込まれている。
その突起が、ごりごりと総悟の弱い部分を的確に抉った。

「んっ!はぁぁああ!」
ぼたりと口から唾液が流れ落ちる。
もう疲れて声など上げられないと思っていたのに、腹の奥底から押さえきれない獣のような喘ぎ声が溢れ出た。

「ん・・・・すごい、ね」
はぁ、と色気のある吐息を吐きだして銀時が甘く囁く。
「男に挿れられる為にある穴だよ、総悟ちゃんのお尻は」

ゆさ・・・・ゆさ。

総悟がじれったくなるほどゆっくりと腰を使う。

「あ・・・あん・・・ぁあっ・・・」

銀時も激しい腰遣いを我慢しているのか、ニヤリと笑いながらも余裕のない表情が滲み出ている。

「どれだけ、男にヤられたのか知らないけ、ど・・・よく、締まる・・・ンッ」
緩慢ながらひときわ強く快感のポイントを擦った。
「ぃああっ・・・あひ」

苦しい。
もう、やめてくれ。

「小十郎ちゃんに渡したような薬はね、あんなものごみだ。あんなもん使わなくったって、人間の快楽というものは簡単に引き出せる」
ずるりとぎりぎりまで己の肉棒を尻穴から引き出す。てらりと光った赤黒いその狂気に視線を落として更にニヤリと笑う。

「こいつを飲み込んでんだもんな、すげえな」
ずん。
「アハっ・・・ん、ああ、あ」
総悟が小さく震え始める。
長い凌辱と暴行の後で精神も身体もぼろぼろになっていた。

銀時の長い指が、総悟の胸をまさぐった。既に張りつめている乳を探り当て、ぎゅうと力任せに絞る。
「いいっ!う・・・・」
食いしばった歯の間から、唾液がとめどなく流れ、総悟の身体の痙攣が強くなった。
びく、びく、と今にも息絶えんとする魚のように跳ねる。

銀時の親指と人差し指の間に挟まれた乳首が見えなくなるほど潰され、ぶるぶると震える銀時の指が、締めつけの強さを表していた。
「、、、ひ、やめっ・・・」
いっぱいに力を込めた指先をぐいと引っ張って乳首を伸ばすと、その瞬間銀時を咥えこんだ総悟の内壁が、侵入者を食いちぎらんとばかりに収縮した。

「ン」

銀時が眉を寄せて達した。
最奥で種を撒き散らすように腰を最後まで擦りつける。

きゅうと銀時をしめつけて貪欲に精を絞りとる内壁に名残惜しくも別れを告げて己を取り出す。

「最高だったよ」
す、と頬を撫でるが、もう総悟から反応といえるものは返ってこなかった。

「ありがとう、やらせてくれて」
別段総悟の無反応を気にする風でもなく身体を離すと、乱れた服を直す。
そうして総悟の戒められた両手首のあたりでなにかごそりと細工をした。

「かわりに総悟ちゃんを逃がしてあげる。今すぐ自由になると俺殺されちゃいそうだから・・・ってまあそんなに簡単に動けないだろうけどね」
そう言って総悟の唇に口付ける。

ちゅ、と音がして銀時が離れた時、薄明るくなってきた水車小屋の外で、がさりと音がした。






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