「鉄線よ、我君を愛す(10)-6」 |
喉がからからで、涙と涎、男達と己の精液で顔も身体もかぴかぴと固まっていた。 常に大きく開けさせられていた顎と同じく何人もの男を何度も受け入れた尻の感覚が無い程に傷む。 ようやっと薬の効果が穏やかになってきた。 だが、指の一本も動かせない。 男達もはじめほどのがっつきが無くなり、幾度目かの行為の為に一人ずつ順番に総悟の腰を抱え、ゆさゆさと揺さぶっていた。 残りの男達は周りで傍観したり休憩したり自由なものだった。 「いけねえ、腹ァ下しちまったみたいだ」 男の一人が下腹をさすりながら立ち上がった。 「ちっと小屋裏で用足ししてくらあ」 その声を聞いて、幾分眠気に襲われていた小十郎がぴくりと反応し起き上がった。 くるりとした目が底意地悪くつり上がって光っている。 まるで良い事でも思いついたかのように男の方へ駆け寄って何事かを耳打ちした。 驚いたように小十郎の顔を見返す男。 「い、いいのか?そんなこと・・・」 「うふふ、いいんだよ、もっとひどくしたっていいんだから」 両手で口を押さえ、噴き出すのをこらえながら手押し車に戻る小十郎。 男は腹を押さえたまま小走りに小屋を出て行く。 小十郎がちらりと総悟を見ると、身体中が男達の泥まみれの手で撫でまわされてどこもかしこも薄黒くなって、精液やら汗やらでぐちゃぐちゃになっていた。 ぴくりとも動かず、生きていないのかと思うほどだった。 「ウフ、さすがの沖田さまも元気がなくなっちゃったみたいだね」 総悟の返事は、無い。 だが、薄茶色の驚くほど長い睫毛が、震える。 失神しては正気に戻り、気を失ってはまた戻りしていたが、今は意識があった。 『あとで・・・たっぷ、り・・・・お返し・・・して、やらァ』 己に絶望しないようにか、小十郎への恨みを反芻する。 身体は動かないが、脳に怒りを刻みこんでいた。 かたりと音がして、用足しから男が戻って来る。 その下半身は、未だ下帯を着けていない。 「どうした、何か悪いもんでも食ったか?」 仲間の一人が男を振り返ると、腹を擦りながらまっすぐ総悟の側まで歩いてきた。 「へへ、ちょうど良い葉がなくてよお・・・・」 「ああ?尻拭いてねえのかよ」 「ふふん、小十郎坊ちゃんのお許しが出たんでよお、そこのお小姓様に処理してもらおうと思ってな」 言って総悟の顔を見下ろす。 出て行く時は四つん這いにされて後ろから犯されていた少年は、今は焦点の合わない瞳でただ天井を見つめて揺さぶられている。 もう何刻暴行をうけているのか。 食べる物にも事欠き、朝から晩まで泥にまみれて働く他に娯楽の無い男達の性欲はすさまじかった。 「フン」 挿入されたままの総悟の前髪を鷲掴みにして、その顔の上におもむろに腰を下ろした。 「んぐ・・・」 言い表しようのない臭気が総悟を襲う。 「えほ・・・げほっ・・・」 「なあ知ってるかお前ら。ケツの穴舐めてもらうのって、得も言われぬ心地良さなんだってよ」 男の声に、混濁した意識が無理矢理現実に引き戻される。 不意に襲った吐き気の元を確かめるように目を見開くと、顔前に跨る男の股が視界に入った。 また、モノを咥えさせられるのか。 しかし男は汚らしい尻穴を、総悟の唇に無理矢理押し付けて来た。 「んうっ!!!」 先程用足しをして、そのままの状態。 べっとりと尻に残った便が尻穴の周りにはりついていた。 「あうーーーっ、う、うあ・・んぐっ」 必死に口を閉じて顔を背けようとするが、男の膝に頬をがっちりと挟まれてろくに身動きが取れなかった。 総悟の唇をめくれ上がらせるように、男が尻穴を擦りつけながら前後に腰を動かすと、ねっとりとした糞が総悟の唇を割って白い歯にまでなすりつけられる。 「口開けろ、綺麗に舐め取るんだよ!」 総悟の鼻をぎゅうと掴み、そのままぐいぐいと体重を掛けるように腰を揺する。 必死に耐えていた総悟も、すぐに限界を迎えて空気を求め大きく口を開いてしまった。 「んああああっ」 総悟の暖かい舌が、男の尻穴にぺとりとくっついた。 「うおおおお、気持ちえーっ!最高だ!最高だ!おおう」 「んぐ、ぐうっ」 「オラ、もっと舐めろ!きっちり全部舐め取らねえといつまでも終わらねえぞ!」 「ふぐ・・ん・・・っ・・・・」 つ、と総悟のきつく閉じた瞼から透明の液体が流れ落ちた。 「うふっ・・・うふふ・・・あはは、あははははは!!」 突然小十郎の笑い声が響く。 「あはは、なんて無様なんだろう。粗野で下品な男の糞を舐めるなんて、なんて汚らしい!!ざまを見ろ。私に馬糞なぞ投げつけた罪は重い。あははは!十四郎様にご覧に入れたいよ、この犬畜生にも劣る姿を!」 ぎゃはははは、と腹を押さえて転げまわる小十郎。 狂気にも似たその様相にとまどいの視線をやる男達もいたが、ほとんどは総悟の身体に視線が釘付けになっていた。 下半身に男のものを咥えこんだまま、無理矢理顔を押さえつけられて汚物を舐め取らされている美貌の少年。 満足したはずの男達の前が再びむくむくと立ち上がり始めた。 「くう〜〜〜、最高だぜ!きれいに舐め終わったらもっと中まで舌つっこんで刺激してくれよ!」 弱々しい手つきで両頬を押さえる男の腿をなんとか引きはがそうとするもとても叶わない。 「んんんんうっ・・んん〜〜っ!」 とめどなく流れる涙に、男達の性欲は一度も放出していないかのように高まった。 「お・・・俺も」 「いや、俺が」 「俺も!俺も尻を舐めてくれ!」 口々に叫ぶと、再び男達が我先にと総悟のもとへ群がって行った。 |