「鉄線よ、我君を愛す(10)-3」 |
残るは総悟と小十郎と、野卑な男達。 そのうちの一人、特に屈強な漁師然とした男が総悟を無遠慮に上から下まで眺める。 歯車に縛り付けられてぐったりとした少年。着衣はぼろぼろになり鮮血が白い肌に滲んでいた。 「すげえ」 ぽつりと言うと、他の男達も口々に叫んだ。 「蓑嚢の坊ちゃん、ほんとうにこいつを好きにして、いいってのか?」 「ぐったりしていて顔が良くみえねえ!だけどなんて綺麗な髪なんだ!俺達みてえに塩焼けしてねえしな!」 「ふん」 小十郎が目を細める。 「なんだい、度胸がないってのかい?大の男が八人もそろって遠巻きに見ているだけとはね」 「言ってくれるじゃねえか、いいっていうなら俺たちはいつだって女に飢えてんだ、ここいらの田舎モンの芋煮みてえな女じゃねえのにいっぺんお願いしたかったんだ」 男の一人が総悟の顎を乱暴に掴んでぐいと上を向かせた。 途端にひゅうひゅうと下品な口笛が周りの男達から上がる。 「すげえ!すげえぞ!さすがは高貴なお方だ!こんな別嬪見たことねえ!」 「なにが高貴なものか、お公家様じゃない、ただの粗野な武士の生まれなんだからね、沖田さまは」 「お前はその粗野な武士の頭領にイカれているのではないか」 とは、言わない。 総悟はただ、ちらりと小十郎を見た。 「うへっ、それにしたってよぉ、ぼろくずみてえになっちまってはいるが、こんな立派なお召し物を着ている雛人形みてえなのをヤれるなんてよお」 口の端から泡のような涎を滲ませて、男が総悟の露出した腿をわしづかみにした。 「ああ、しっとりと手に吸いついてくるような肌だ。・・・お稚児趣味なんてよ、まるで偉いお殿様になったみてえだぜ」 言うが早いか、男が総悟の身体に残った衣服をびりびりと破り去る。 誰かがごくり、と喉を鳴らした。 「見ろよ、この下帯。こんな真っ白なのを着けた事があるか?おまえら。お城のきれいなべべ着たお稚児さんは、こんな別嬪なんだぜ!」 当時、庶民の間では夜這い制度が健在で、未婚女性の家に複数の男性が日を変えて忍びこむことはあたりまえだった。 妻帯者とてそれは例外でなく、だから女に不自由しているということはありえなかった。 だが男達は明らかに興奮している。 見かけることはあっても話などできないような身分の総悟に、希少価値と非日常の特別感を持ったようだった。 白い下帯と総悟の肌の間にぐっ、と節くれ立った中指と人差し指を差し込む。 その黒い親指が下帯を掴んだだけで、泥でもなく炭でもない灰色の汚れがついた。 ぐっぐっぐっ。 左右に下帯を揺らせて緩ませる。 ちらりと総悟の顔を見るが、特に表情は変わらない。 どうせ戒めを解くことができないのなら暴れても同じだと思っていた。 「甘やかされたお稚児さんは、こう言う時は泣きわめくもんなんじゃねえのか?」 少しだけつまらなさそうな顔をして男が言う。 「フン、とんだあばずれだもの。よそのお国のお殿様にも尻尾ふって涎垂らして尻穴を擦りつけていたようなのだからね」 「ハッハ!お城に住んでるお方だって言っても俺達となんら変わりねえってことだな!」 すばやく下帯の結びを解き、ばさりと床に落とした。 男達の視線が集中する。 「クック、ひと皮剥きゃあ遣われる側の俺達も、遣う側のアンタ達もおんなじよ、立派な逸物持ってんじゃねえか」 グッと萎えたそこを握りこんだ。 「っ・・・・」 遠慮のない握りに、総悟の下半身を痛みが襲う。 「どうすんだ?え?お殿様のお相手はどうやってるんだ?俺達にも教えてくださいよ」 元より尻をからげているので、己は薄汚れた下帯を取り去るだけで、すえた匂いのする男根が現れる。 興奮からか、既にそこはぴくぴくと震えながら天を向いてそびえ立っていた。 「ふ、、ううっ・・・」 尻穴が裂けるような痛みに思わず総悟が呻いた。何の準備もせずに男が挿入しようとしたのだ。 「くそおっ、全然入んねえぞ、どうしろってんだ!」 「クク、馬鹿だね、女子だって濡らしてから入れるだろ?男だっておんなじだよ」 小十郎が楽しそうに答えた。 「何かすべりの良くなるモン持ってねえのかよ!」 「うふ、持ってないよ、だって怪我なんていくらさせたっていいんだから」 笑いをこらえるように手を口にあてる。 「無理に入れちゃってよ」 チッと舌打ちをして男が総悟の足を抱え上げる。入れやすいように、総悟の左足を右肩に担ぎ、右足は降ろしたままにして角度をつけた。 「見ろよ・・・雪みてえな色の足だ・・・」 まわりを固める男達が興奮したようにざわめく。 「おい!入れられねえってんなら俺が代わる!!」 「うるせえ、黙って見てろ!!」 総悟の足を抱え上げたまま振り向かずに怒鳴って、男が挿入の叶わない焦りからかじっとりと汗ばんだ手で総悟の腿をぎゅうと掴んだ。 申し訳程度の先走りを菊穴に塗りこんで、大きく息を吸う。 歯をくいしばって左手で総悟の右尻をぐいとひろげてから、一気に差し込んだ。 |