脳みそにシワがない




「し、晋助さまあっ!毎日毎日どこへ出かけているっスか!?この辺りは真選組の警戒区域で危険っスよ!!」

「ククク・・・・」

派手な女物の着物を着流して、口の端をニヤリと上げる上司は、また子の質問には答えず帰ってくるなりアジトの一室に閉じこもった。

「ああっ、また!そうやって引き籠るッスか!?中で一体何やってるっすか!!!」



がちゃがちゃとノブをまわすと、それは案外簡単に開いた。

今日までしっかりと鍵がかけられ、一体中に何があるのか気になって仕方がなかったのに、何故こうもあっさり??

少々拍子抜けしながらもおそるおそるドアを開けるまた子。



その視界に、ある意味夢のような世界が広がる。

だだっぴろい倉庫のようなコンクリート打ちっぱなしの部屋。

そこに、大きな大きな台が置かれ、その上には非常に細部までこだわって造りこまれた遊園地ジオラマが広がっていた。



「な・・・なんスか、これ・・・」



「ククク・・・良くできているだろう」

確かに良くできている。

市販のパーツはほとんどないといっていいだろう。



部屋中には世界の遊園地の写真、森や山の写真、ボンドにカラースプレー、十数本の筆にパレット、絵具やカッター、石膏キットなどなどなどが散乱し、軽いシンナー臭も漂っている。



美しい木々に囲まれた広い敷地には、豪華な入園ゲートに始まって、メリーゴーラウンド、ジェットコースター、お化け屋敷らしき建物、トップスピンやフリーフォールからソフトクリームの売店までもがきらびやかに所狭しと並んでいた。

しかも夕焼けを演出したオレンジ色の照明が、それぞれの遊具をして閉園への哀愁を醸し出させていて、非常に完成度の高いものだった。



しかし。

しかしだ。

普通のジオラマと違うのは。



人が、誰もいない。



誰もいないというよりも。



一組しかいないのだ。



それも。



くりん、とした目のついた二体の人形。

この二体の人形を1セットにして、同じ人形がおよそ10セットくらいだろうか・・・・。

ソフトクリームの売店の前に、メリーゴーラウンドの前に、回転ブランコの前に、そして、敷地の最奥、うっすらとした斜面に建てられた、美しい観覧車の前に・・・・・。

それぞれ寄り添うように置かれた、沖田と高杉のちびきゅん人形たち。



「ククク、かわいいだろう」



「し・・・晋助・・・さま・・・?」



「やっと今日沖田のちびきゅん10体目が当たったんだ、これで完成だ」



得意げにまた子に向かって顎を上げた尊大な態度をとる高杉。





「どうだ?」



いや・・・・・どうだって言われても・・・・・・・・。





泣く子も黙る鬼兵隊のアジトの中核部屋で。

きっかり5分間は、恐怖の沈黙が二人を支配したのであった。





(了)






一番くじとかどこの国の世界なんですかね的な感じでしたので。



一応、あったの知ってますよということで。

皆さまお疲れ様でした。

20回ひいても目当てのものがあたらなかったとかそんなブログを読んだりしましたが。



高杉はちびきゅん沖田がいっぱいほしかったようです。














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