これぞまさに珍味[2/3]
うーん、どうしよう。
キジル海瀑を歩いて暫く経った今現在。
少し…いや、がっつり俺は悩んでいます。
相変わらず空元気にニコニコ笑っているジュード君が先頭で軽く跳ねたりしている。
可愛いなぁ…じゃなくて!かなりあれは疲れていると俺は見た。
……よし、仕方ない。
「「ちょっと休憩」」
ジュード君を休ませるために主張すると、アルフレドと声が被ってしまった。
「うげー。空中三回転ジャンプ&スライディング土下座しろ、屑傭兵ー」
「おたく今そのフレーズ好きなんだな…」
「岩場続きで足痛いし、そろそろ休憩にしよう?」
アルフレドが後ろの方で無視するなとかほざいているのも纏めて無視無視♪
ミラさんは休憩が不服らしく、ニ・アケリアに到着してから休めばいい、と先に進むことを勧めてくる。
それを口だけが達者なアルフレドが抑え込めば、休憩することが決まった。
ミラさんは了承してくれたけど、どこかへ歩いていってしまう。
「ミラさん!オヤツ作るから早めに戻って来てね!」
「分かった。楽しみにしておこう、イウ」
視界から消えていくミラさんに声をかけ、荷物を漁る。
朝貰った果物はどこかなー、っと。
「アルヴィンって、結構気を遣ってるんだね」
ジュード君の声がして、二人の方を見てみる。
休憩だって言ってるのにジュード君は立ったまま。
イウもありがとう、と微笑むジュード君はまるで天使。
やっぱり可愛いなぁ。
「ま、無理に気持ちの切り替えしようとしてるおたくが気になったのは確かだな」
「無理してるように見えちゃったんだ…でも、ホントに大丈夫だよ。僕、難しく考えないようにするの得意だから」
「いつもそう言ってなんでもかんでも抱え込む!いい、ジュード君。面倒事は全てあの人に押し付けなさい!」
「…って、俺かよ!?」
指差されたアルフレドが騒いでいるけど…うん、無視しよう。
本当は仲いいんじゃない?と首を傾げるジュード君に思わず俺は苦笑してしまった。
そんな俺を見てクスクス笑うアルフレドを包丁の平で殴る。
危ない!とか喚いているアルフレドも無視してみよう。
鼻歌を歌いつつ料理に戻ろうと思った直後、ミラさんの声がした。
少し先から、低い呻き声。
当然、俺たちはミラさんの向かった方へ走り出した。
…けど包丁ではさすがに戦ったことないので、念のためにいつものセットを取り出したりしていたので俺だけ出遅れちゃった。
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