4.あなたの真実が見たい
昨日も一昨日も楽しげに薬品をかき回していたクロア。
きっと今日も…。
その瞳には僕なんて写っていない。
「…クロア」
ベッドに寝ころんだままポツリと呟いた。
返事なんてあるわけないのに。
そう思い寝返りを打つ、窓の方へ。
荒い息は止まらない。
上がったままの体温は、未だ下がることなく僕を苦しめる。
……この雨のせいだったのだろうか。
「なんだよ、リオン」
クロアに気づかなかったのは。
目を見開き、文字通りに飛び起きる。
「クロア?!」
「な、なんだよ。さっきから人の名前呼びやがって。…これで五回目だぞ?」
ずっと居たということを遠回しに宣告され、顔に熱が篭るのが分かった。
クロアは椅子から立ち上がり、僕の元へ歩く。
「まったく。そんなに可愛らしいことばっかしてると、俺…我慢できなくなるぞ?」
耳元で囁かれ、動悸が激しくなる。
「なっ、何を!!///」
「はは。俺に惚れた?」
いつものように楽しげに笑うクロア。
また、僕をからかって遊んでいる。
無性に腹が立ち殴ろうとするが、手首を掴まれ止められてしまう。
「ちょいと失礼」
後ろに回された手が僕の頭を固定し、クロアの顔が近づいてきて思わず目を瞑ったその時。
コツリ、額に当たる。
「顔真っ赤だから熱上がったと思ったんだけど…そうでもないか」
「……は?」
意思に反して間抜けな声が漏れてしまった。
「マリアンに、リオンが風邪ひいたって聞いてすぐに来てみたけど…注意力が低くなったこと以外に異常は無いな」
僕から離れるクロア。
立ち上がり、机上に置かれた薬を手にする。
「飯食ったらこれ飲んで寝とけよ。…それじゃ、おやすみ」
クロアが部屋から出て行った。
「〜ッ!あの馬鹿は…っ」
あれはワザとなのか?
それとも、こういうことに関して疎いのか?
クロアの心だけは読むことができない。
できることならばいつか…
あなたの真実が見たい(お前は僕をどう思っているんだ?)
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