2.あなたは飛び立つ鳥のようで

「知ってるか?リオン様の噂!!」


城を後にしようと歩く俺の耳に、入った言葉。
ピタリと歩く足を止めて一般兵たちの話に耳を傾ける。


「次期七将軍候補に推挙されたってことだろ?」

「そうそう。フィンレイ様の亡き後、あの方の意思を継げるのはリオン様だけだとか言われてるよな」

「違いない。リオン様はフィンレイ様の愛弟子だったからなぁ!」


聞いたことのある話だった。
未だ空いたままのフィンレイ・ダグの穴埋め役。
いや、こんな言い方はおかしいか。
"親友"の輝かしい未来の話だったのだから。

自分を縛る鎖を引き千切って、一人の男リオン・マグナスになる。
きっとこれはリオンの願いなんだ。

オベロン社総帥のご子息様。
そう見られる度、リオンは悔しそうな表情を隠してた。
俺は気づいていたけど。

今の兵たちの話でも、フィンレイ・ダグの愛弟子とは言われてもご子息なんて言葉は出てこなかった。
逆に、尊敬の念が篭っていた気がする。
幸せな未来が、リオンを待っているんだ。

だけどそのときは来るのだろうか?
あの夢、リオンが死んでしまう夢が現実になったら…その日が来るまでに、リオンは七将軍になれるのか?


『クロア、足止まってるよ?』


ディサピアが話しかけてきてふと正気に戻る。
そして何も言わずに走り出した。





あなたは飛び立つ鳥のようで
(だけど、呪縛から解き放たれはしない?)





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