与一 | ナノ

 02

ここは学校だ。
だから授業もあればテストもある。
元々この学校に通う必要がないごんべだが今は学力向上の為に通っている。
そしてそんな彼女には吸血鬼と同じくらい恐ろしい呪術筆記試験が返ってきた。
我がクラスの担任である小百合先生には「もう、ごんべちゃん勉強した?」なんて怒られてしまった。
このテストは与えられる鬼呪装備のランク決めに関係する。
でも既に鈴鹿御前という鬼呪があるから私には関係ない、…はず。
各々がテスト結果に阿鼻叫喚している中、士方が言葉を放った。

「お前頭にくそでもつまってんの?」

ぎくり。
どうやら0点を取った優一郎が君月に暴言を吐かれている。
かといって自分は何かを言える程良い点数でない為、息を潜めていた。
すると近くにシノアが現れごんべと目を合あせニヤリと笑い問いかけた。

「ごんべはどうだったんですかぁ?」

か、確信犯!?
黙っていれば可愛い彼女が悪魔に見えた瞬間である。
さらに隣で盛り上がっていた君月、優一郎、与一も話に加わってきた。

「へぇ、ごんべちゃんって勉強苦手なの?」

「苦手というか、やる気がでないっていうか…」

「あはは、いっその事公開しちゃえば良いじゃないですか」

「やだよ!」

「なんだよごんべ、俺より低いのか?」

「いや、優一郎君よりは上だけど…」

______


中佐が10日振りにやって来たかと思えば、彼は徐に腰についている刀に手を掛けこう言った。

「めんどいの嫌いだしちょっとこいつらの能力試してみっか」

彼の異様な雰囲気にクラスがざわつくが、それに構わず更に言葉を続ける。
「死んじまった奴は…修練足りてなかった自分を恨め」

刹那__全身にかかる重圧。
何ともいえない感覚にごんべは顔をしかめ、鈴鹿御前を出す。
気休め程度だが楽になったごんべの脳内に直接声が響いた。
(久しぶりに呼ばれたと思えば…なにこの圧力。どういうことよごんべ)

「ごめん、ちょっと我慢してて」

愚痴を溢す鈴鹿御前に苦笑いしながら宥めているとグレンの攻撃は終わっていた。
周りを見渡して見るとクラスメートのほとんどが倒れていた。
…あの3人を除いては。

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