▼ 01
グレン中佐が教室にいる。
いつもどっかに行って大概の事は小百合先生に任せているのに珍しいぁ、なんて呑気に考える。
するとしばらく休んでいた為久々に見るシノア、と一緒だったのは2人の男の子だった。
「お前ら聞け、今日珍しく担任である俺が此処に出向いてやったのは転入生がいるからだ」
「あは、担任は毎日来るものだと思いますよ」
ニヤニヤしながら突っ込んでくるシノアをグレンは睨み返す。
「百夜優一郎と早乙女与一、一言で言うとアホと弱虫だな。今日からこの教室の一員になることになった」
「あ、誰がアホだよ!」
「よ、弱虫…弱虫…」
「なーに今頃ぎゃーぎゃー言ってんだよ。事実だろ」
破天荒、という言葉が似合う優一郎は教卓の前に立つ。
「ここにいるクズどもが今まで何勉強してきたかは知らねぇがお前らがやってたことは無駄だ!一番いい武器は俺がもらうことになった!以上!」
「以上じゃねえええ!!」
クラス中を敵に回す言葉を放った彼をグレンは容赦なく殴る。
その側で慌てているのは早乙女与一。
その光景を見て「うわぁ…」とクラスの人は引き気味に見ている。
ごんべはチラリと横を盗み見た。
長い足を机に投げ出し、授業なんてさらさら受ける気がないのか顔に教科書を被せている。
彼の名は君月士方。
こう見えて頭は良く、寝ているのにいつもテストでは高得点を連発している。寝ているのに。
「私なんて起きてても良い点取れないのに…!」
「ごんべ、お久しぶりです」
「シノア、すごい人達を連れてきたね」
「あはは」
シノアの後ろにいる与一と目が合い、無視するのも失礼と思い笑いかけた。
「えっと、早乙女与一君。ななしごんべです。宜しくね」
「う、うん。よろしくねごんべちゃん」
茶色くふわふわとしたくせ毛を揺らし、薄い緑色をした瞳を細め彼は笑った。
どきん、と胸が高鳴る。
「ん?」
胸に手を当てるが特に変わった所はない。
気のせいか、と思いながら前を向く。
皆が席に着いた所で中佐が一言。
「よーし、久しぶりに授業はじめっぞ〜」
あ、授業やるんですか。
(皆との出会い)
prev /
next