8◎新婚旅行【斎×主】 
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馬車に揺られながら、思わず身を乗り出し雄大な景色を眺める。

『うわぁー。凄い景色!』

東京へ出張に出る前に、二人のんびりと旅行に行こうと斎藤が連れ出してくれたのだ。

「体調はどうだ?少し降りて休むか?」
『あ!川!』
「見て行くか?」
『見たい!入りたい!』
「…こんな雪の積もる中、川に入れば死ぬぞ」

斎藤は川沿いに馬車を停め、足場を確認しながら降りる。

「降りれるか?…………」

手を差し伸べながら振り返ると、すでにひなたの姿は無かった。

『きゃーー!!』
「ひなた!!」
『あったかーい!♪』
「……」

斎藤は膝をガクッと折ると、溜息を尽きながら川の側へと歩いて行く。

「危ない。あまり奥へ行くな」
『だーいじょーぶー』

ひなたは湯気の立つ川へと、着物をたくし上げて入って行く。

「ひなた?…ひなた!」
『なーにー??』
「き、着物が…」
『ああ、濡れる?』

更に着物を上に捲り上げると、太ももを露わにして軽く結んだ。

「ー!!」

斎藤は耳を赤くして、スラリとした真っ白な足に目を奪われてしまう。
ひなたが少し屈み込んで、足首を撫でる様に洗うとクラリと眩暈を覚え瞬きしながら目を逸らした。

「…俺は、果報者だ…」
『え??なーにー??』

川の音で斎藤の小さな声は掻き消されてしまい、ひなたは水の中を歩きながらゆっくり帰ってきた。

『ねえ、はじめさん。どーして川があったかいの??』
「あ、ああ。近くに温泉があるんだろう。源泉から流れた湯が川を温めているのだ」
『お風呂みたい。いい湯加減…きゃあ!』
「危ない!!」


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