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「私は…っ!!この新選組にてお世話になってから…、ずっと想っておりました。」
「………」
斎藤の眉間の皺が深くなる。
「例え私闘になろうとも…この想いを止める事は、最早不可能にございます!!」
「…私闘は切腹だ。事の重大さをお前は理解していない。」
「否…悩んだ末の決断でございます…」
斎藤がひなたの前に立ちふさがり、下がるよう促す。
『はじめさん!!待って下さい!話を…っ!!』
ひなたが前に出て間に入ると、彼が涙目で想いの丈をぶつける。
「ずっと…っ、ずっと…っ、お慕いしておりました!!」
「チッ!!」
斎藤が舌打ちをしてひなたを遠ざけ、柄に手を伸ばす。
『ダメ!はじめさん!!』
「斎藤組長ーー!!!」
「は??」
─ぎゅっ
珍しく斎藤が間抜けな声を出した。
思わず目を逸らしてしまったが、確かに彼は《斎藤組長》と言った気がした。
ひなたは呆然と立ち尽くし、厚い胸板に抱かれる斎藤を見つめていた。
『あれ?』
斎藤も彼に抱かれたまま石のように固まり、事態を把握出来ていないようだ。
『…あれ?想い人って、は、はじめさん…?』
ハッと我に返った斎藤は力任せに彼から離れると、青い顔をしていた。
斎藤が戸惑い、丁寧に断ると彼は男泣きで去って行った。
気まずい空気が流れ、一部始終を見ていた秋吉の笑い声がいつまでも境内に響き渡っていた。
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