14◎夢の楽園【斎×主】 
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『はじめさん!』
肩を強く揺すられ目を覚ました斎藤は、庭の木にもたれ掛かり居眠りをしていたようだ。
「父上?」
双子も顔を覗き込んで眉を寄せている。
「……何だ…夢か…」
『随分と幸せそうでしたよ。どんな夢だったんですか?』
「お前と、秋吉と出掛けた夢だ」
「父様?私は?」
「んん?はは!…ああ、父様の義弟の事だよ」
「ふ〜ん…」
『どちらに行かれたの?』
「…どこだったかな…」
腕を組みながら斎藤は深い溜め息をつき、記憶を手繰り寄せて目を瞑る。
『茶屋ですか?』
「否、何とも…、そうだ!」
『思い出せました?夢って目覚めたら忘れてしまいますよね』
「《ねずみーらんど》だ」
双子は嫌そうに眉を潜めて、ひなたは目を瞬きひとり腹を抱えて笑い出す。
「何が可笑しい」
斎藤は胸に抱き寄せ、夢の続きを話す。
「ねずみの耳を頭につけるのだぞ」
「ね、ねずみの耳でございますか!?…何と無体な…」
斎藤と秋吉は真剣に語り出すが、ひなたはひとり笑いながら聞いていた。
『ラグーナじゃないのよね』


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