14◎夢の楽園【斎×主】 
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軽く取り合いになるとひなたは、オロオロと間に挟まれてしまう。
『で、でも、はじめさん!ミッキーとミニーは恋仲同士なんですよ!』
「………恋仲…?」
斎藤はやや合って秋吉の尻尾を見つめて訊ねる。
「ぐぅふぃは?」
『ペット』
「愛玩動物ですよ。しかもミッキーの」
「…………」
斎藤は静かにひなたからのプレゼントを受け取ると、シンデレラ城を睨んだ。
「行くぞ」
「あ、シンデレラ城は入れないんすよ」
「な、何故…」
『シンデレラしか入れないの』
「しんでれら?」
『お姫様なんですよ』
斎藤は納得したように城を見上げると、小さな窓から顔を出すひなたを想像した。
「俺ならば…」
『ん…?』
「外に連れ出してやれるのに…」
優しい風が吹くとお姫様の髪が靡いて、こちらに気付き花のように笑った気がした。
「ー!!」
乱暴に斎藤の耳を引っ張ると、ひなたが囁いた。
『何、考えてるのよ』
「こ、こら、離せ」
『浮気者。ミッキーは浮気しないのよ!』
「ああ、悪かった。くだらぬ夢だ。次はどこに行くのだ?」
『んんー…ミッキーのグローブが食べたい!』
「食べれるのか…」
駆け出したひなたを、のんびり歩きながら追い掛ける斎藤は笑うしかない。
どうあっても城から出た姫にしか見えぬのだ。
「姫!急がれるな!」
斎藤の呼び掛けに振り返るひなたは、嬉しそうに笑うと髪を風になびかせた。


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