13◎甘えて欲しい【斎×主】 
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「出来ぬのなら、やらぬでも良い…」
斎藤は涼しい顔で秋吉を見下ろすと、息子はキリっと気合いを入れた。
「いいえ!行って参ります!」
竹刀を片手にてちてちと庭へ駆け出す姿を見送ると、斎藤は寝室の扉を開けた。
目を瞬くひなたを優しくベッドに下ろすと、額に口付け微笑する。
『扱いが御上手で…』
「誰かに似たのだろう…」
着物の帯をほどき始めると、斎藤はひなたに口付け一言だけ告げた。
「集中しろ…」
どんなに言葉にしても足りないくらい、愛してくれる。
すべて包んで、許してくれる。
手すりさえない階段を当てもなく降りて行く、そんな毎日に明かりをともしてくれる。
柔らかな月のようなあなたが好きです。
『嫌いにならないで…』
「俺を捨てないでくれ…」
人として交ざり合える限界を超えても、繋がりを求める。
それはきっと昔は一つだったからだろう。
求められるのは苦では無い。
誇りに思わなくては。
あなたを私を求める人がいる。
『私はもう空っぽじゃない』
斎藤の優しい口付けが、答えをくれた。
《助けて》が言えなくて、あなたを悲しませた。
明日からは上手に甘えられるだろうか。


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