9★昔の女【斎×主】 
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くたりと手が落ち、ひなたが力なく倒れると斎藤は抱き上げた。
深い溜め息を尽きながら縁側を振り返ると、沖田の嫌そうな顔と原田の苦笑が待ち構えていた。

ーパチパチパチパチ…

秋吉は一人スタンディングオベーションだ。



ひなたは自室で目覚めると、枕元に斎藤が座っていた。

『あっち行って…』
「ー!!ひなた…」
『話したくない…』

斎藤は顔を背けてしまうひなたの隣で、ただ何かを言いたげに目を泳がせていた。

『別に咎めてない。ただ…』
『私の知らないあなたを見て。悲しかっただけ…』
『あなたが…。私、以外の人を想って嬉しそうに笑うから…。悲しくて…』

目頭が熱くなり、女々しい自分に嫌気がする。

『私に似てるって言うから…。私が似てたから、側にいてくれるのかと…』
「それは違う!…お前は、お前だ…」
『ごめん。もう話したくない。そっとしておいて。お願い…』

ひなたは両手で顔を覆うと、指の間から涙が流れた。

「ひなた…。俺もお前の過去にいつも嫉妬している。それに…」
「た、大切なのは…。最初の女より。最後の女だろう」
『……。はは…。何それ…』

《最後の女》

ひなたは涙を拭うと、斎藤の膝に置かれた手を握り微笑した。

『今は、それで許してあげる』
「……」

ホッと胸を撫で下ろす斎藤は、二度とひなたに酒を飲ませまいと誓うのだった。


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