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「な、何だこりゃあ…」
ドリフのセリフに出てきそうな感想にもツッコめない秋吉は、震えたまま原田の腕を引っ張る。
「斎藤さんが、殺される…」
「何でこんな事になってんだよ。お前ら、何やらかしたんだ」
「ひなたちゃんがお酒飲んで、はじめ君の筆おろしの相手にヤキモチ妬いてるだけですよ」
「…はは。成る程…。そりゃ、女の前で喋るもんじゃねーな」
「ひなたちゃんはいつも余裕綽々だから、大丈夫だと思って」
「余裕な奴なんていやしねーよ。惚れた奴に嫌われたくねぇ。そればっかりだろう?」
「まあね…」
誰しも身に覚えがあるのか、ひなたの癇癪も自分勝手な事に思えなくなってしまう。
「左之!!な、何とかしろ!」
ひなたの刃を受けながら、原田に助けを求める斎藤は顔を歪ませていた。
「謝れよ」
「ひなた!すまん!」
『殺す!』
「左之ーー!!」
「…んじゃあ、この前話した方法でもやってみるんだな」
「お、思い出せん!!」
「女を泣き止ます方法だ」
「ー!!な、泣いていない!」
「んじゃあ、腕を一本ぐらい斬らせてやれよ」
「そうはいかん!」
「ひなたとどっちが大事なんだ?」
「斬らせたところで、ひなたが悔やむだけだ!」
「御託はいいから、さっきの試せよ」
互いに肩で息をしながら様子を窺うが、今のひなたにとても正気は無い。
大きく振りかぶった刀を避けるように、懐に飛び込むと斎藤はひなたに口付けた。
『……ん』
愛おしむように腰を引き寄せ、頭をしっかりと掴むとひなたの長いまつ毛も伏せられ、刀がその手から落ちた。
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