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「ひなた!刀を収めて二人で話そう!」
『……』
「な、何だ?」
『デレデレしてんじゃねー!この浮気者がぁ!!』
ひなたの刀が大きく空を斬ると、沖田の持っていた団子の串が切り落とされ地面に落ちた。
「「「…こ、殺される」」」
斎藤が刀でこれ程押される姿を見た事がなかった秋吉は、震えながら何とかしなければと試行錯誤していた。
下手に助けを呼べば、羅刹化したひなたを抑えられないと隊士達に斬られてしまう。
放置すれば正しく死闘になる。
「そうだ!!」
秋吉は斎藤の前に立ち塞がり、両手を広げた。
「ひなた!止めろ!」
「秋吉…」
助けに入る秋吉に斎藤が感動していると、ひなたの足が弟の顔面に入る。
「…ぐは…」
「あ、秋吉!!」
受け止める間もなく、ひなたはまた斬りかかる。
秋吉はふらふらと起き上がり、屯所の中心で泣きながら叫んだ。
「だ、誰か。助けて下さい!!」
ーガラ…
「うるせーなぁ。こりゃ何の騒ぎだよ」
「さ、左之さん!!」
ーガン!
頭をガシガシと掻きながら、寝ぼけ眼の原田は秋吉をいきなりげんこで殴る。
「俺は夕べ巡査だったって言ってんだろうが!やっと寝たとこなんだよ」
「すんません…。生まれてすんません!」
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