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秋吉は小銭をかき集め、お竜に団子を買う。
「秋吉様、このような高価な物…」
「食べた事ないの??」
「は、はい。お使いに出た先で買う事はありましたが、口にすることなど到底…」
「旨いよ」
お竜が恐る恐る口に頬張るとすぐに涙を流した。
「美味しくない?」
秋吉が手拭いを差し出すとお竜は泣きながら笑う。
「おっとうと、おっかぁにも食べさせ…て、やりたかった…」
秋吉は自分の分を包み持ち帰るように渡した。
お竜も食べかけの団子を戻し、丁寧に包んだ。
「なぁ、お竜さん」
「はい…」
「またいつか会えるかな?」
「…はい。秋吉様をお訪ね致します」
「へへへ…。じゃあ俺は屯所にいるから絶対捜しに来てね」
「し、新選組の方でいらしたのですか?」
「うん…、ごめんな」
「い、いえ」
「では、必ずお訪ね致します」
「ああ。…道中気をつけて」
秋吉は小さな背中が見えなくなるまで見守り続けた。
お竜は何度も何度も後ろを振り返った。
秋の空を見上げ、彼女の無事を祈った。
そしてまた出会える日を願うのだった。
「ちょっとあんた!娘を逃がして良かったんですか!?」
「ああ。構いやしない。あの村はころりで皆死んじまってるさ。娘を遊郭に売れなきゃ、生きてるだけ金がかかる。追い出すまでも無く喜んで出て行きやがった」
どこかで心無い思惑があったとしても、秋吉とお竜の想いはいつまでも断ち切れないだろう。
今日も空を見上げ秋吉は願う。
「元気かな…」
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