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「はじめさん、遊女って高いの?」
「─!?秋吉!女子の前でそのような話を口にしてはならん!」
殆ど唇を動かさず、部屋の隅へと追いやると斎藤は辺りを伺った。
「ひなたが訊いたら何とする!」
「いや…、そんな慌てなくても…」
自分の事のように脅えた斎藤は小さくなっていた。
─ひなたがからかう気持ちもわかるな…。
「売られた娘が遊女になると抜けられないんだろ?」
「ん、ああ。だが、騙された場合は別だ」
「え!?そうなの!?どうしたらいい!?」
「それは…買いつけた人物に事情を話す他ないだろう?」
「了解!!」
秋吉は大急ぎで屯所を出て行った。
「待て!!秋吉!相手の身元を調べねば…」
斎藤の言葉は届かなかった。
待ち合わせ場所へと向かうと、お竜が不安そうに待ち構えていた。
秋吉の姿を見つけるとふわりと笑う。
「良かった…。本当にいらして下さったんですね」
「約束したろ」
秋吉はニカッと笑うと斎藤から訊いた話をお竜に訊かせた。
意を決して買い付けた店へと足を運ぶと、店の者はお竜を見つけ首根っこを掴み引きずり込んだ。
秋吉が慌てて止め事情を訊かせると、なんとあっさり手放したのだ。
騙して遊郭に売ると罰則があるようだ。
「秋吉様、ありがとうございました。このご恩は決して忘れません」
涙ながらに訴えるお竜に秋吉も鼻を啜った。
「家にはいつ帰るんだ?」
「はい、今日にでも町を出たいと思います」
「じゃ、デートしよ」
「でーと?で、ございますか??」
秋吉はニッシシと笑うとお竜の手を握った。
「秋吉様!!天下の往来でございます!」
「明日には誰にも会わないよ」
秋吉は寂しそうに笑いかけた。
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