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CRO×QUAR
夢の続きを歩き出す彼らの物語
[アイドルグループ仲良しコメディ]


登場人物紹介
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Act.23 天然サド和風ハーフの話(2/2)
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正客から順に

大筋の流れはお菓子をいただき、お茶をいただき、茶碗を拝見すること。
先ずは「お菓子をどうぞ」と干菓子を供されたので、キィから順に頂いていく。

「お先に。・・・頂戴します。」

キィは普段の言動が残念なせいで忘れやすいが、さすが南浦家の坊ちゃんっと言ったところ。
同席者への心配りやお辞儀のタイミング、干菓子の頂き方やお茶の飲み方等の手順が文句なしで完璧。
アズと代わって正客の位置にいただけあって、お手本にもってこいの人脈だった。

(さっすがキィちゃん。すげー!)



正客から次客へ

そんなキィの隣に座り、ちゃんと手順を言われた通りによく見ていたアズ。

「おさきに。・・・ちょうだいします?」

回って来た自分の番で言葉が不安になっていた。
けれど同席者への心配りやお辞儀のタイミング、干菓子の頂き方やお茶の飲み方等の手順が、キィの動きそのもの。
『初めて』と言っていた彼は、あの短時間の一瞬で覚えてマスターしたのか。
アズも文句なしで完璧だった。

(欠伸ゼロ・アズ、最強すぎるだろ!)



そしてお詰めへ

(この二つ差コンビ、天才すぎる・・・。)

アズの次に回って来た志摩の番。
最後のお詰めってだけでも大役なのに、アズもキィも完璧だったおかげで余計なプレッシャーが彼を襲う。

(あ、あれ?ってか、何だっけ?どうやってお菓子取るんだっけ!?)

焦ってテンパる気持ちが真似て大丈夫な手順すら混乱に陥り、追い詰められる志摩。
絶体絶命?万事休す?一番年上なのに自分だけ出来ない恥を覚悟した。

(ひえぇぇえ〜・・・。こんなことなら高校の時、茶道部に入っておけばよかった。)



全てをぶっ壊す行為

その時、

「ー・・・ふう。」

自分の分まで点てていたイブが、片手でその椀を鷲掴んで口に運び、グイッと飲み始めたのだ。
腰にもう一つの手を当てて、ゴクゴクといい飲みっぷり。

「・・・・・・・・・え?」

「ぷはーッ!Oh,No!苦い!マズイ!もうイッパイ!」

それはもう作法も風情もセオリーもマナーも全てをぶっ壊す、許されない行為。一番壊しちゃいけない人がやっちまう。
そんなイブを目の前で見た三人。特に志摩は驚きが隠せなくて「ええええええ!?」と声を出してまで驚く。

「What's?何か間違ってました?」

しかもやらかした本人はキョトンとしており、何を間違ったのか分かってない様子だった。



抹茶に似た抹茶風味のアレ

やっちゃいけないイブがやらかしたせいで、堅苦しかった雰囲気すらもグダグダに崩れていく。

「色々台無しだよイブ。せっかく点ててた抹茶をそんな風に飲むなんて!」

「マッチャ?シマチャン、何のことデスか?コレ、AOJIRU。青汁デスよ〜♪」

「は?青汁!?」

イブが点てていたお茶を飲んでない志摩は気付けなかったが、先に飲んだ二人は味の違いに気づいていたようだ。

「青汁だったんだぁ、これ・・・。」

「だよね。抹茶の味はするけど抹茶じゃないから、どうなってるのか焦ったよ。」

「YES!ビックリドッキリ大成功デース!」

そしてまんまとイブの悪戯にハメられたと分かった途端、緊張感も緊迫感もどこかへと旅立って行き、気疲れと共に脱力するアズ、キィ、志摩だった。



イブのグダグダお茶会

「Hi!イッパーイお菓子もあるのでジャンジャン食べて楽しんでってクダサーイ!」

そんなこんなで、せっかくの茶室も台無しになるぐらいイブのお茶会はグッダグダな会へと化する。

「いっちゃん青汁まだある?ボク、甘いもの苦手だからそっち飲んでいたいかも。」

「ねー、イブ。青汁じゃなくて普通の抹茶はないの?」

「梅昆布茶ならありますよー。梅昆布茶、大好きデース!」

おかげでアズもキィもそして志摩も茶席としてのマナー、作法を気にせずにいられたが、何と言うか。
イブが日本の伝統を間違った方向で覚えてないか不安になった一時だった。

(これ、どっかのお偉いさん方に怒られそうで怖いんだけど大丈夫かな?すごく怖いんだけど・・・。)



違いの差

「わぁっ!いっちゃん、その剣ほんもの?」

「No、No、No〜。これは模造刀デス♪」

その最後に見せてくれたイブの一本の模造刀。
鞘から抜いて構える彼の姿はプロポーションばっちりで美しくてカッコよくて、それだけでイブだけの魅力が溢れ出ている。

「・・・・・・。」

クロスカルテットの四人にはなくて、リライトの二人にはあるもの。
それを言葉として何で表すのが一番適切か分からないけれど、でもたった一つの動作でそれを伝えられた気がした。

(やっぱ凄いんだな、リライトって・・・。)



束の間休日の束の間

「へー。京都のお土産屋さんで買ったんだ。」

「YES!凄く素敵なお店でした。one more time。もう一度、行きたいデース。」

イブは日本刀、刀がとにかく好きで、凄く興味があるらしい。
この模造刀も関西でライブを行った時に買ったものだと、修学旅行生のようなノリで話していた。
そんな彼の趣味を聞きながら、呑気に梅昆布茶飲んでいられたのも束の間。

「なのでシマチャン。ぜ・ひ、居合いのレンシューさせてクダサーイ♪」

どうしてそんな話の流れになったのか。
イブが志摩に居合いの稽古?を申し込んでくる。

「・・・はい?」

『なので』の使い方も全くもって意味が分からない。



天然サド和風ハーフ

「模造刀なので斬れたり刺さったりしませーん。No、problem。ちょっと痛いだけ済みマース。」

「いやいやいやいや、それ何も大丈夫じゃないから!その痛いってだけでも凄く嫌だから!」

当然、志摩は拒否。けどイブに拒否を拒否られるように刃を振り翳して襲い掛かり、問答無用で何かが始まった。

「ソレではいっきますよー、シマチャン!」

「ちょい待ちー!NO!NONO!NOだってばNO!」

もちろんそんなイブも悪気はない。のに逃げる志摩を、笑いながら追いかけて襲って来るイブは、とても狂気染みたものを感じてとても恐ろしかった・・・。

「チェイヤーッ!」

「こっち来ないで!ギャーッ!」



束の間の翌日



「・・・ってことが、ありまして。」

「え?」

翌日、志摩はイブの家に遊びに行った出来事を、一緒にいたリライト専属プロデューサーの真昼に話す。
アズとキィは楽しんでいたようで良かったものの、自分は終始大変だったと愚痴を交えてしまったが、志摩の精神的に吐かずにはいられなかったのだろう。

「点ててたお茶が実は青汁で、目の前でグビグビ飲まれた時は本当ビックリでしたよ。お茶が趣味だって聞いてたのに、そのイブが色々ぶっ壊すなんて思いもしませんでしたから。」

「イブが、ですか?え、そんなはずはー・・・。」

もちろん真昼も自分がいなかったところで『そんなまさか』と驚く。
けれどその話を聞いているうちに、真昼はイブの行動が理解出来たのか。
コクンと静かに頷いて訳を教えてくれた。



二人ではなく、三人の

「・・・ならイブは堅苦しいことを抜きにさせてまで、真島さんたちとただ単純に楽しく過ごしたかったんだと思いますよ。僕とじゃそんな真似あり得ませんし許したりしませんから。」

そこから日頃からイブをよく見ており、イブという一人の男を完璧に把握していて詳しくて、さすが専属プロデューサー。さすがまひるんっといったところだった。

「じゃあ刀を振り翳してきたアレは?」

「真島さんの反応が面白くて続けてたんだと思いますよ。まあ、僕としては『ざまあ』としか言えませんが。」

「えぇー・・・。」

リライトにはイブがいてユウがいて、その影で支えながら動かしているのが真昼。
二人ではなく三人いるから成り立っており、リライトにとって誰一人欠けてはいけない存在なのだろう。
それはクロスカルテットにとっても志摩にとっても、良き先輩、ツインボーカルコンビのリライトだった。

「これからもどうぞイブとユウ。リライトの二人とも仲良くして下さいね。」



『CRO×QUAR』第23話を
読んでいただきありがとうございます!

今回はリライトのイブが主役のお話でした
口調が「Oh・・・」とか「YES!」とか
いろいろ英字やカタカナを交えさせてますが
時折、繋ぎや締め台詞の言葉に迷います
あまりキャラが定まってない証拠なのでしょうか(汗)

そして恒例になった(?)イブのカップリング話を・・・
彼は天然なSっ子なので、ちょっと迷う
キィと一緒で右にも左にもいけそうな感じ?
何しろ天然なので予想つかないことしてきそうです


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