「あんな言い方されたら断れないよ。もー、今回だけだからね。こういうことするの。」
「ははは・・・。」
隣に志摩も座り、再び差し出したコンビニコロッケを今度はちゃんと受け取ったキィ。 口から出る言葉はちょっとだけ怒ってるようだったけど、顔から出てる表情は少し嬉しそう。
「いただきます。」
そして食べ慣れない様子でコロッケを口に運んで、一口パクリ。 もぐもぐ。 もぐもぐ。 よく噛んでからゴクリと飲み込む。
「少し冷めちゃってるね、これ。」
「ホントだ・・・、ぬるい・・・。」
その味はアツアツでもなければ冷たくもない。 ちょうど真ん中ぐらいの温さで超絶微妙なコロッケだった。
(いつまでも悩んでいたのが原因だな。)
ぬるいコロッケも美味しいと言えば美味しいが、やはりアツアツの揚げたてのあの美味さには勝てない。
「うん、美味しい♪」
次々にパクパクとコロッケを食すキィ。 お気に召したようで機嫌も上々。 でも今更ながら、坊ちゃん相手にこんなぬるいコロッケなんか食べさせて本当に大丈夫だったのだろうか。と小さな不安を覚えた。
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