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CRO×QUAR
夢の続きを歩き出す彼らの物語
[アイドルグループ仲良しコメディ]


登場人物紹介
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Act.61 Birthday of Achi(前編)(3/3)
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キィによる初めてのカレー

それから数分後・・・。
煮込み終えたら、ここでカレールーを鍋に投入。
オタマでクルクルとルーを溶かしながらかき混ぜ、もう一度、弱火でコトコトと。いい感じにとろみが出てきたら出来上がり。
なるべく綺麗を意識して盛り付ければ、これにてキィによる初めてのカレーライスが完成!

「できたーッ!やった、やった。僕でもカレーが作れたよ!」

「お疲れ様、キィちゃん。」

「凄いね、カレールーって。いっぱいスパイス用意しなくても出来るなんて。」

作っている最中は、作ってる側も手伝ってる側も、色々大変だった。
時間も割と掛かったけど、なんとか無事に作り上げることが出来た。
そんな初めての体験にワーイワーイと、はしゃいでるキィだけど、ちゃんと出来ているかの判断はこれから。

「さささ、食べて食べて。エッチから食べて。」

「う、うん。・・・いただきます。」

調理中、特に変なことは一切していないが、お味はどうかな?上手に出来てるかな?



お味はどう?

本日の主役であるエーチが、いただきますと手を合わせた後、最初の一口をパクッと食べる。
その途端、

「んッ!」

何かの衝撃が巡ったのか、ピクッと反応を示したエーチの身体。
けど次に出た言葉は、

「何これ!?凄い美味しい!!」

と。たった一口でも、めちゃくちゃ美味しいキィのカレーに驚いて大絶賛。

「本当?本当!?」

「本当、本当!すっごい美味しいよキィちゃん!カレーを初めて作ったとは思えない美味しいさ!凄いよキィちゃん!」

そんな彼の後に続いて、他のみんなもいただきますして食べたが、彼らも大絶賛だった。



お味はどう? 2

「きぃちゃんのカレー、すっごくおいしい!」

「うん。エーチも言ってたけど、これが初めて作るカレーだなんて思えない!」

おかげでどんどんパクパク進む食べるペース。
『お代わりもあるよ』とのことだったので、エーチを始めアズも志摩もお代わりをした。
だけどエヴァだけ、ホッとしたような安堵な息を吐く。

「・・・・・・・・・。」

このカレーをゆっくりと慎重に、大事そうに食べている。
そんな1人だけ違うペースに気付く周り。

「えば。きぃちゃんのカレー辛い?」

「オレですら辛く感じてないから、エヴァでもこれくらいなら食える辛さだよね。」

「あ、うん・・・。これぐらいなら平気。」

「よかった。エヴァもいるから、あまり辛くないカレールーを買ってたはずだったから。」

エーチもアズも志摩も『どうしたの?』と伺う。



美味しいけれども

「せっかく僕が作ったカレーだぞ。遠慮しないでエヴァもいっぱい食べてよ。」

「そう言われても・・・。」

「エヴァだって美味しいでしょ?僕のカレー。」

「確かに美味しい、けど・・・。」

反応が微妙なエヴァが気になる一同。
キィも『美味しい』と言う単語を、彼の口から言わさせる。

「失敗しなくて本当に良かったというか。」

「えー、何その言い方?作ってる間、変なことしてなかったでしょ。僕のお手伝いでエヴァも最初から見てたわけだし。」

「作っている間は、な。」

エヴァの反応が微妙なのは、味が問題ではない。
原因は他にあるようで、エヴァは視線をキィが持ち込んできたダンボール3箱に向けた。



初めてのカレーはブルジョワカレー

そのエヴァの一言により、キィのカレーに生じた困惑。

「僕、別に変なモノ入れてないでしょ。レシピ通りに、ジャガイモ、人参、玉葱に豚肉。カレールーはどれ買っていいか分からなかったから、しましまちゃん任せだったけど、それ以外は何も入れてないよ。」

「うん。全然、一般的な材料だね。おかしなモノなんて、ひとつもないよ。」

いったいキィは何をやらかしたのか。

「そうだぞ、そうだぞ。せっかくエッチのために、ジャガイモはニセコ産、人参は富良野産、玉葱は淡路島産。豚肉が山形県にある牧場から三元豚を。わざわざ早急に取り寄せて頑張って作ったんだから。」

「え。」

問題は味ではなく、材料でもなく、各食材の産地。
全て最高級ブランドのモノを使用しており、このカレーを作った費用はいくらだったのか。たった1杯でさえ、とんでもない金額に達しているんじゃないかと。
エヴァは片付けていた時にダンボールやパッケージに書かれていた産地に気付き、キィにちゃんと美味しいカレーを作らせられたことに心底ホッとしたのだと言う。

「確かに材料は間違ってない・・・。間違ってないけど・・・っ!」

初めてカレーを作ったキィだけど、そこはやっぱりキィらしく、出来上がったカレーは『ブルジョワカレー』だったのだった。



誕生日おめでとうエーチ

それから約束通りに徹夜の分を残して、後片付けはアズとエヴァと志摩の3人で。
本日の主役であるエーチとカレーを作ってくれたキィは、一足先に食休み。

「結局、エヴァだけが微妙だったかー・・・。ちゃんと作れたと思ったのに!」

「オレもエヴァも家でカレー作る時は、そんなに費用掛けないから。キィちゃんのカレーすっごくすっごく美味しかったけど、材料費知ってから、みんなバクバク食べれてなかったよ。オレももっと慎重に最初から食べれば良かったって後悔したし。でもー・・・。」

後片付けに3人は給湯室へと向かった為、この場は必然的にエーチとキィは2人きり。

「オレのためにカレー作ってくれてありがとね。すっごく美味しかったし、すっごく嬉しかったよオレ。本当にありがとうキィちゃん。いきなりカレー作るって言い出した時はビックリしたけど。」

「だってエッチの誕生日だもん。僕なりにお祝いしたかったんだ〜。ってことで、17歳の誕生日おめでとう。大成功?大成功?」

「大成功、大成功。ちゃんとエーチって呼んでくれたら、もっと大成功。」

キィは改めてエーチの誕生日を祝い。
エーチは祝ってくれたキィに、満面な笑顔でありがとうと返したのだった。
それでは締めとして、作者からも改めてー・・・。



エーチ誕生日おめでとう!!!






『CRO×QUAR』第61話を
読んでいただきありがとうございます

今回から季節が秋というわけで
秋はエーチバースデーからスタートとなりました


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