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CRO×QUAR
夢の続きを歩き出す彼らの物語
[アイドルグループ仲良しコメディ]


登場人物紹介
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Act.60 Birthday of You (2/6)
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今日20歳になったばっかりなのに

・・・かと思いきや。その途端、

「痛っ!?」

急に真昼がユウの足を強く踏ん付けると共に、火が付いたばかりの煙草を奪って直ぐに灰皿へ。
いきなり何が起きたか。唐突すぎて分からなかったが、

「まひるん何しー・・・っ!?」

気がついたらユウは真昼に、両手で胸ぐらを強く掴まれていたのだった。

「なーんで今日20歳になったばかりの若造が。なーんでそんな手慣れた手つきで煙草吸えるんですか。誰がどう見ても今のおかしいですよね?ユウは今日、20歳になったばっかりなのに。」

「あ。」

「ユウ。貴方、今、自分で何をやったか。何をやっていたか分かります?」

ユウはショーゴさんから煙草を受け取り、真昼に火を付けてもらうまで。その間の動作に何の迷いも躊躇いもなければ、慣れているような素振りをしていたのだ。
そのせいで全部見ていた真昼が大激怒。
今日が彼の誕生日だろうがなかろうが関係ない。
そんな彼に瞳孔開かせてまで、ヒドく怒り、強く叱る。

「・・・煙草は20歳からなのに。それ以前で吸ったこと・・・、あるんですね。」

「・・・・・・・・・。」



未成年の喫煙は法律違反

「ま、真昼くん?落ち着いて。ユウくんだって、たまたまだったかもしれないし。若造って言ったって真昼くんとユウくん、1歳差でしょ。」

「ショーゴさんは黙ってて下さい。これは僕とユウの問題ですので。」

おかげで2人の間に生まれた一触即発な険悪ムード。
ショーゴさんも慌てて止めようとしたが、水に油を注いだだけとなってしまう。

「未成年の喫煙は法律違反なんですよ。たった1本を興味本位で吸った所を発覚されて、報道の闇に葬られた未成年のアイドルや芸能人がたくさんいること。ユウだってご存知ですよね。」

「・・・・・・・・・。」

そして始まったのは真昼による尋問。
真っ直ぐユウの目を見て、真剣に問い質す。

「正直に言っていただけます?・・・いつから、吸っていたんですか?」

けれどユウは真昼の瞳に、合わすことが出来なかった。



いつ吸ってたの?

でも抵抗はなく、おとなしく観念したのか。

「答えて下さい、ユウ。」

「・・・・・・。」

「・・・・・・。」

「少し前に・・・、ちょっとだけ。」

小さな声で。
真昼だけに聞こえる声で、自白する。

「僕が気付けなかったところでも・・・。隠れて吸っていたんですか?」

「それはない。イブとまひるんと出会ってからは・・・。2人と出会って、辞めること。出来た・・・から・・・。」

ゆっくり、ゆっくり。
恐る恐るでもいいから、合わせられなかった目を合わして。



誓って下さい

ユウの胸ぐらを掴むのをやめた真昼は、そのまま自分の額をユウの額にコツンと優しく合わす。

「信じて・・・、いいですか?その言葉。」

「信じられなかったら、信じられないで・・・、いい。」

真昼の瞳には、ユウが映り。
ユウの瞳には、真昼が映ってる。

「世界には1つ誤っただけで、ごめんなさいだけでは許されないことが多くあります。過去のこととは言え、こんな危ない真似・・・。2度としないと、僕に誓っていただけますか?」

「・・・・・・、誓う。」

「イブも含めてユウが迷惑かけていいのは、今は僕だけなんですから。そこは絶対に忘れないで下さいね。」

「・・・ああ。」

「あと最後のツメが甘いと、それまでのことを全て台無しにさせますから気を付けて下さいね。」

数人しかいない店内だけど、いつの間にか完全に2人だけの世界を創り上げていた。



次のカクテル

こうして無事に?真昼のお説教が終わったのか。

「お騒がせしてごめんなさい、ショーゴさん。ユウも反省して下さいましたから、もう大丈夫です。」

「突然だったからビックリしたよ。殴り合いにでもなったら、他のお客様に迷惑掛かるから、本当、ヒヤヒヤしたよ・・・。」

「いくらなんでも僕だってそこまでする気はありませんでしたよ。僕が迷惑かけていいのも、イブやユウだけですから。」

これにて収束したようで、一件落着。
ユウも真昼も、静かに席に着いて元どおり。

「ユウとは仲直りとして、ショーゴさんにはお詫びとして。お代わりお願いしていいですか?ユウのも一緒のやつで。」

「りょーかい。」

そして真昼が次に注文したのは、ジン・バック。
こちらもベースはジン。レモンジュースを少々とジンジャエールを加えて作った、酸味と甘味のバランスが良い夏向きのカクテル。
ショーゴさんがタンブラーに注いで、銀の細長いマドラーでステアしたら、2人の前にご提供。

「ん・・・。これも飲みやすくて、さわやかな感じがする。」

「ジンのカクテルは、さわやか系が多いですから。」

(真昼くん。やっぱりユウくんを酔わす気満々でいるな・・・。)

仲直りの乾杯をして、またお喋り交えながら、ゆっくりお酒を嗜む。



さっきはさっき、今は今

「えぇーっと。結局、煙草はどうする?ユウくん。」

「今日は、もう・・・。やめておきます。」

「その方がいいみたいだね、吸える空気じゃなくなっちゃったし。っと、ちょっと呼ばれたから失礼。」

それから他のお客さんに呼ばれてショーゴさんは一旦、別の卓へ。
ユウと真昼は2人きりになり、ちょっと静かな間があった。
けどカウンターに置きっぱだったショーゴさんの煙草ケースに、真昼が手を伸ばして1本パクり、それをユウの口に咥えさせる。

「まひるん。これはどういう真似?」

「ユウは今日で20歳ですから。今日からでしたら全然吸っていいんですよ。・・・せっかくですので見せていただけませんか?煙草を吸ってるユウの姿を。」

「さっきメチャクチャ俺から取り上げたくせに。」

「さっきはさっき。今は今です。」

さっきと同様。マッチを擦って、真昼が付けた小さな火で、煙草の先端が灯された。



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