夜の公園は、やっぱり静かだった。 こんな時間まで蝉の鳴き声が聞こえてくるが、それでも昼と比べれば凄く静か。 志摩と朝陽以外の気配がなくて、さっきまでいたファミレスが賑やかだったせいもあり、2人だけの世界がここに生まれた錯覚がより強く感じさせられる。
「あの、朝陽さん?こんなところまで来て何ですか。あまり奧行くと蚊に刺されるんですけど。」
「んー、でもいちおマナーだから。」
「マナーって?」
そして引かれる手は、このまま。公園の照明が届きにくい茂みの奧まで。
「何の・・・!?」
暗くて視界がよく分からなくなっていた中で、朝陽に口づけられた志摩の唇。 それはいきなりで、突然で、急すぎて。
『気が付けば、俺は朝陽とキスをしていた。』
その例えがあまりにも的確だった。
|