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CRO×QUAR
夢の続きを歩き出す彼らの物語
[アイドルグループ仲良しコメディ]


登場人物紹介
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Act.33 一人暮らし始めましたの話(後編)(3/3)
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エヴァと堀北 燐之助の関係

「「ご馳走様でした!」」

あれからも金髪少年の燐之助くんが来なかったおかげで、食事中は無事に最後まで平和に終わる。

「それじゃあエーチ。そろそろ帰ろうか。」

「うん。」

エーチの事前情報や調べたレビュー通りに、堀北食堂のご飯は凄く美味しくて大変満足出来ました!
燐之助くんのことより、ここに来ればエヴァに会えると考えれば、全然これからも通わさせてほしいところだ。

「志摩さん。今日は本当に、リンが粗相な真似をしてしまいすみませんでした。」

「いいよいいよ。もう大丈夫だったから気にしないで。」

お会計中、担当してくれたエヴァにもう一度、燐之助くんのことで頭を下げられる。
そして彼の口からも、燐之助くんのことを改めて紹介された。

「エヴァは燐之助くんと仲がいいんだね?」

「はい、リンは俺の大事な友人です。何かの機会でまたリンに会うことがありましたら、その時はどうぞよろしくお願い致します。根はそこまで言うほど悪い奴ではないので。」

俺にとって燐之助くんへの印象が悪くなってないよう、少しでも緩和させるかのように。
『大事な友人』とハッキリ公にしただけあって、エヴァにとって燐之助くんは他とは比べ物にならないぐらい大事な存在なのかもそれない。



内緒のペロキャン

そうして速やかにお会計も終えた後、

「エーチ。」

「ん?」

エヴァがエーチを呼び止める。

「・・・なに?」

どうしたんだろう?何か忘れ物でもしたのだろうか。
エーチも呼ばれた理由が分かっていないのか、ちょっと不機嫌そうな不思議な表情を浮かべていた。
俺も俺で、俺が呼ばれたわけじゃないのに、その2人が気になって見守ることに。

「ほら。リンが見てない隙に持ってっていいから。」

するとコロンっとエヴァの手には、先ほど燐之助くんにあげたペロペロキャンディが1つ。
それをコソコソっとエーチに手渡す。
その途端、

「!!」

しょぼしょぼに萎れていたエーチのアホ毛が、一瞬にして大復活を果たしたのだ。



荒ぶるエーチのアホ毛

いきなりピーンッと力強く張ったアホ毛が荒ぶっている。

「ななな、なんだよ!突然!お、オレ別に欲しくなんてないし、燐之助ばっかズルイなんて思ってないし、こんなのコンビニ行けばいつだって買えるし!」

エーチ自身もまさかここで貰えると思ってなかったのか。
動きがアホ毛と一致。あわあわと凄く慌てていた。
言葉だけが異なっているが、なんだか嬉しそう?

「あ、そう?いらないならいいんだが。」

「あ!待て待て待て!エヴァがそこまで言うなら、オレが仕方なく貰ってやるよ!うん。」

「そこまで言われるほど言ってないんだけど。・・・まあいいか。リンに見つかるなよ?また揉めて、おばさんに迷惑かかるだけだから。」

仕方なく渋々と受け取っておきながら、すごく嬉しそう。
アホ毛をあんなにもブンブンと荒ぶさせてまで。



当人より素直なアホ毛センサー

「ありがとうございました。またお越し下さいませ。」

こうしてお腹いっぱいになった俺らは、エヴァに見送られて堀北食堂を後にした。
エヴァからキャンディ貰えたエーチは、鼻歌を歌って上機嫌。

「♪」

ペロペロ舌先で舐めたり、口の中でコロコロ転がしたりして、とってもとってもご機嫌。
荒ぶっていたアホ毛も落ち着いたようだが、まるで子犬の尻尾のように、ふりふりと振らせている。
そんな一連をずっと見ていたエーチの『どうして』が、やっと1つの答えに繋がり、

「ーーー・・・ッ!!」

「わ!?どうしたの志摩ちゃん!?!?」

そのエーチのアホっぷりは正に彼らしくて、可愛さのあまりに悶絶した俺は、付近の電柱にグーパンぶつけて八つ当たり。ぷるぷる震えながら、なんとかギリギリ耐え凌いだ。

「ごめん。何でもない。何でもないから今はほっといて。」

「えー!?」

エヴァが燐之助くんに渡したキャンディ。あの時、エーチも欲しかったんだね。



明日から、また仕事

こうして色んなことがあった1日だったけど、エーチのおかげもあり、引っ越しの片付けもあっという間に終わった今日。
明日からは、また仕事の日々。
チェリーストーンまで実家より近くなったとは言え、念には念を。遅刻は怖いし嫌だから早めに家を出て、ここからどれぐらい時間がかかるのかちゃんと見ておこう。

「エーチ。今日は本当にありがとう。俺んちまでついて来てくれて。本当は逆だよな?俺がエーチをエーチの自宅に送らなきゃいけないのに。」

「ううん。いいのいいの。今日は志摩ちゃんのお役に立てて、オレも嬉しかったよ。また事務所で会おうね。」

「おう。」

そして自宅までエーチに送られて、今日の大体が終わろうとした。

「あ、志摩ちゃん。お別れしちゃう前に、ひとつだけお願いがあるんだけどいい?」

「ん?」

その時・・・。



エーチのお願いごと

本日最後の『どうして』が、エーチの口から生まれた。

「もし・・・。もし、アズにエヴァのことで何か言われたら、それはまだ聞かないでおいて。今はまだ待ってほしいから。」

「えっ?」

「絶対!絶対だよ!」

そんなことエーチから言われるなんて思ってなかったし、いったいどういうことなのかも分からない。
訳を聞こうとしたが、そう強く言い放ったエーチは真っ先に帰ってしまう。

「・・・・・・・・・。」

俺の知らないところで何か起きているのだろうか。それとも何かが起ころうとしているのか。
俺は、まだ何も知らない。いや、忘れてしまっているだけだった。
ほんのりと関わったあの出来事が、今後の彼らを大きく左右させていることに。
俺はまだ気づいてすらいなかった。



『CRO×QUAR』第33話を
読んでいただきありがとうございました!


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