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仮面優等生の歪いた愛欲

この瞬間だけでも、俺を愛して・・・。
完結][既婚者教師×仮面優等生(主人公)][略奪愛]


EP.1「付き合っていただけませんか?」(4/6)
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そんな俺の話を聞き、静かに頷く神崎先生。

「そうですか。今も今までも並みならぬ努力をしていたからこそ、今の錦くんが在るというわけですね。」

「!」

「よく頑張りましたね、錦くん。先生は錦くんのこと、迷惑に思ったこと一度もありませんよ。」

ポフッと俺の頭に手を置いて、優しく撫でたのだった。
まるで幼い子をあやすかのように。

「逆に先生が錦くんに迷惑かけてしまっているのではないかと、心配に思っていただけですので。」

「そんなこと・・・っ、俺も神崎先生のこと。迷惑だなんて思ったことは、一度もないですから。」

その優しさが悔しかったのか、恥ずかしかったのか。
この顔を見られたくなくて、俺は前髪で表情を誤魔化した。

「・・・ッ。」

そしてさらに誤魔化したくて。
会話すら切り替えたくて・・・。
一緒に持ってきていたカバンから、あるモノを取り出した。

「そうだ・・・、神崎先生。」

「ん?」

「甘いものって好きですか?」

「甘いもの?」

「チョコ、一つどうです?」

それは一口サイズの小さなチョコレート。
手の平に一つ置き、神崎先生の前に差し出して勧める。

「チョコレートでしたか。では錦くんのお言葉に甘えて、お一つ頂きましょうか。」

「どうぞ・・・。」

勧められるまま神崎先生は、そのチョコレートを手にする。
銀色の包み紙をはがし、中に入っていたチョコを美味しそうに口へと運ぶ。
それを然りと確認。
この目で最後まで見届けた俺。

「・・・ん。あまり甘くないんですね。」

「甘くないチョコダメでしたか?」

「いえ、そんなことないですよ。このチョコレート美味しいですよ、錦く・・・!?」

ニッコリ笑顔を浮かべていた神崎先生の身に、何か異変が起きたのか。
急に自分の口を押え、言葉が止まってしまう。

「このチョコレート。この間、親戚の知り合いから海外旅行のお土産で頂いたんですよ。」

俺もそのチョコレートを食べようと。
一つ取り出して、銀色の包み紙をはがし自分の口へと運ぶ。

「パッケージに『アフォディジアック』って書かれていたんですけど、ずいぶんと変わった名前のチョコレートですよね。」

「!?」

このチョコレートが、いったいどういうチョコレートであり。
それが、どんな事態を招くのか。

「ま、待って!錦くん、このチョコレートは・・・!!」

「え?」

「あ・・・。」

このチョコレートの正体を明かした途端に、神崎先生は止めに入ったが。
時はすでに遅し。
自分の口の中に運んだチョコレートはそのまま溶けて、俺の体内へ。
そしてそのチョコレートが招く症状は、直ぐに訪れた。

「ッ!?」

ドクンッと強く唸り、ジワジワと火照てくる体の熱。

「・・・ッ・・・ぁ。」

「錦くんっ!」

次々、自身に起きる異変。
そんな訪れた症状に、俺はガタンッと椅子から、冷たいフローリングの床に落ちてしまう。

「だ、大丈夫ですか?」

「かんざき・・・っ・・・せんせ・・・。」

向かいに座っていた神崎先生は崩れた俺を見て、慌ててこっちに来て傍に寄る。
彼の腕で支えられた俺は、自身の熱を熱くする。

「・・・・・・っ。」

神崎先生と目があった瞬間、バッと視線を逸らす。
平常心を壊され、羞恥に染まる精神。

「ご、ごめんなさい、神崎先生。俺、俺ッ。」

「錦くん、しっかり!」

「ごめんなさい・・・。神崎先生、ごめんなさ・・・っ・・・。」

燃えるようなこの熱さに耐えれなくなった俺。
もう何に対して謝っているのかすら分からない。
『ごめんなさい』を繰り返して、赤い顔色をより熟れせる。
『恥ずかしい』という思いが隣り合わせでいながらも、もうこんな自分を自分で止めることなんて出来なかった・・・。

「錦くん・・・っ。」

こんなになってしまう症状が、俺に訪れているんだ。
なら同じチョコを先に食べた神崎先生にも、きっと同じ症状が訪れているはず。
逸らした目をもう一度、ゆっくり神崎先生と合わせる。

「・・・っ・・・。」

狂った俺は何を訴えていたのか。
今度は神崎先生が俺から視線を逸らしてしまう。

「だ、ダメ・・・ですよ。錦くん。」

まだ言葉を口にしてもないのに拒まれた俺。
それが無性に悔しくて、せつなくて。
神崎先生に支えられてるのをいいことに。
下した視線で、神崎先生のも確かめてしまう。

「やっぱり・・・、神崎先生のまで・・・。」

「錦く・・・っ、ダメですって。いけません。先生なら、先生のことなら心配要りませんから。」

神崎先生にも、やはり自分と同じ症状が起きていた。
直ぐに隠されてしまったが、この目は一瞬を逃さなかった。
『ダメ』だとか『いけない』だとか。
そんな言葉を口にして、それが余計に煽っているとは思いもしてないのだろう。

「俺の・・・せいですよね。さっきのチョコが原因で、神崎先生のまで・・・。」



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