≪ top ≪ main

仮面優等生の歪いた愛欲

この瞬間だけでも、俺を愛して・・・。
完結][既婚者教師×仮面優等生(主人公)][略奪愛]


EP.4「本当は分かってるんだよね」(2/6)
]  [目次へ]  [


それから5分も経たずに本鈴のチャイムが鳴り、教室に神崎先生の姿が見える。
それと共に及川のくだらない話は終わり、午後一発目の授業、数学の授業が始まった。

「・・・・・・。」

今日の授業内容は、もうじき定期的に行われる学力診断テストが近いためか。
予告なしの抜き打ちで、小テストをやらされることとなった。
その間、教室内は静かな空気に包まれていて、とても落ち着いた雰囲気だったのに。

「ー・・・。」

教卓から監視をしている神崎先生の視線。
テスト時間内に幾度もぶつかっていたせいか。
俺は終始、神崎先生のことが気になって、あまり集中ができなかった・・・。
きっと過去最悪の採点になったに違いない。

「はい。それでは今日の授業はこれでおしまいです。今やったテストは後日、次の授業で返しますので各自それぞれ自己採点しておくように。」

授業終了のチャイムと共に数学の授業が終わり、一気に室内が騒がしくなる。
次の授業は体育。
午後の体育は正直かったるい・・・。
けれどこれ以上エスケープしてしまうと内申に響く可能性が高くなるので、もう気軽にサボるわけにはいかない。

(今日は諦めて、おとなしく投降しよう。)

「浬く〜〜〜〜ん!!」

「うわっ!」

自分の席で筆記用具を片づけていると、再びこっちにやってきた栗毛野郎。
先ほどやっていた小テストの問題用紙も一緒に持ってきて、なんとも情けない声を上げながら人に飛びついてきた。

「どうしよう、どうしよう浬くん!さっきのテスト僕、赤点かもしれない!助けて浬くん!」

(ほぼ教室の真ん中で抱きついてくるな!暑苦しい!)

及川は周りのことなんて一切お構いなし。
目を涙目にさせ、ピーピーと助けを求めてくる。
俺はそんな及川を自分から離れさせようと、

「えと、大瀬くんに聞いてみるのもいいんじゃないかな?」

すかさず大瀬にバトンタッチ。
アッチに行ってくれと言わんばかりに彼の名前で案を出す。

「やだやだ!あんなバカに頼ったら僕までバカになっちゃうよ!」

が、及川は首を横に振り嫌だと断る。
しかもそんなことを大きな声で言うものだから、向こうの大瀬方向から「誰がバカだ!?」と水に油な状態へ。
バトンタッチを不可能にされてしまった・・・。

「ねーねー、助けてよ浬くん、なんとかしてよ浬くん。」

(あーもう、鬱陶しい!!)

懲りない及川に苛々と不快になっていく俺。
あまりの鬱陶しさに、素で毒を吐きそうになったが我慢。・・・我慢。
耐えろ、・・・耐えろ。

「ご、ごめん及川くん。俺も数学はあまり得意じゃなくて、人に教えられるほどじゃなくて。」

「全ッ然いいよ!浬くんに教えてもらえるのなら万々歳。」

「え、あ、ちょ。」

「さっそく今からー・・というのは無理だからぁ。今日の放課後さっそくお願いしてもいい?忘れちゃわないうちにやっちゃいたいからさ。」

「あの及川くん。だから俺ー・・。」

「約束だからね、浬くん。」

「・・・っ・・・。」

及川の折れないしつこさに折れた俺。
さっきまで泣いてたくせに、げんきんな笑顔で一方的に約束を交わさせられる羽目に。

(ハァ・・・。)

これならさっさと断ってしまえばよかったと遅い後悔。
結局、俺は深い深〜い溜息を吐きながら、渋々了承したのだった。



]  [目次へ]  [
しおりを挟む


BL♂GARDEN♂BL至上主義♂
2015.05start Copyright ちま Rights Reserved.
×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -