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仮面優等生の歪いた愛欲

この瞬間だけでも、俺を愛して・・・。
完結][既婚者教師×仮面優等生(主人公)][略奪愛]


EP.2「お仕置きが必要ですよね」(2/4)
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本鈴のチャイムが鳴ると俺の席で戯れていた数名の男子生徒は、それぞれぞろぞろと自分の席へと戻っていく。
昼休み後の一発目の授業は数学。
神崎先生が担当している科目だ。

「皆さん席に着いて下さい。授業始めますよ〜。」

この教室に姿を見せると、あっという間にいつもの数学の授業が始まる。
つい数分前まで『あんなこと』をしていたのに、まるで『あんなこと』をしてなかったかのように平然な顔で。
いつも通りの神崎先生が教卓の前にいる。
けれどー・・、

「そしてこの式は・・・。」

(・・・・・・・・・。)

「ゴホンッ。えぇっと、この式の解き方ですがー・・。」

授業の真っ最中。
俺と目があった瞬間、さっきまでのことを思い出したのか。
一瞬の間を置いて、直ぐに授業へと戻っていった。





数分後。
数学の授業が終わり、クラス委員長が号令をかけた。
その直後、

「錦。」

「ん?」

「お前のスマホ、一回見せろ。」

「・・・え?」

同じクラスの男子生徒が、敵意を剥き出しにしてやってくる。
その彼の名前は大瀬 邦臣(おおせ くにおみ)。
真っ黒な髪色にビシッと強く真っ直ぐな剛毛、そしてオールバックが決め手といった髪型の男子生徒。
『藍子』という彼女と現在絶賛交際中なのだが。
その彼女が俺に好意を抱いているおかげで、何かと無暗に突っ掛ってくる非常に迷惑な野郎だ。

(及川の次はお前か・・・。)

「どうして?」

「いいから見せろって!」

怖い色に顔を染めた大瀬は、こっちのことなんかお構いなし。
机の横に引っ掛けていた俺の鞄から、一つのスマホを乱暴に取り出す。

「あ・・・!」

「フンッ。どうせオレの藍子ちゃん含め、色んな女子の連絡先をスナック感覚で登録してんだろ。」

大瀬のスマホは俺のと契約会社が違うだけで、同じ機種をお持ち。
そのためか手慣れた手つきで人のスマホを操作し、登録されているメモリーやらメッセージやらを暴き出す。

「どれどれ〜。僕にも錦くんの見せてよ、くそおみ。」

その様子を自分の席で見ていた及川。
俺と席が近いためか、今の大瀬との話を全部聞いていたようで、いつものように割り込んでくる。

「誰が『くそおみ』だ!!人を汚物にすんなっっ!!」

「あはははは。ごめんごめん、また呼び間違えちゃったよ、くそおみくん。」

「お前絶対ワザとやってるだろっっっ!!!」

「二人とも静かに。」

(・・・喧しさ倍増。)

授業終了してから数分も満たず、二人のせいであっという間に賑やかに。
まだ教室に神崎先生がいるというのに、それすら構うことなく、及川と大瀬は大いに盛り上がる。

「へぇ〜。錦くんのって予想外に質素だね。ほとんど連絡用って感じじゃん。」

「そ、そうかな。」

(放っとけ。)

「よかったね、くそおみ。藍子ちゃんの連絡先、まだ錦くんのには登録されてないみたいだよ。」

「そうみたいだな。って、誰がくそおみだっ!!!」

「お前だよ、お前。」

「・・・アハハ。」

(そのやり取り飽きないのか?)

登録されているアドレス帳を頭から尾まで。
一つ一つ細かく調べる大瀬と、それを隣で覗き見ている及川。
そこで及川は何を閃いたのか。
嬉しそうな顔をして、ゴソゴソと自分のスマホを制服のポケットから取り出す。

「よしよし。錦くんの質素なスマホに、出血大サービスで僕の連絡先を登録してあげよう。」

「!?」

(余計なことしかしないのか、コイツは!?)

そしてまた頼んでもいないのに、勝手に交換させられる羽目に。
俺のスマホには及川の連絡先が。
及川のスマホには俺の連絡先が、それぞれ登録されてしまう・・・。

「やっりぃ☆」

それを互いのスマホで確認し、及川は満足そうに満面な笑顔を浮かべた。

「よし。これからは錦くんが寂しくないよう、毎日毎晩メールでもメッセージでも狙撃送信してやっからね。ちゃんと送信してよ。」

「ど、どうも・・・。」

(真っ先に削除してやりたい。)

それはそうと大瀬はー・・。

「・・・チッ。」

自分が想像していたのと遥かに違う俺のスマホを見て舌打ちをし、何かを深く考え込んでいた。
いちお言っておくが、ご安心していいですよ。
大瀬の彼女を含め、女の子の連絡先はほとんど交換したことないですから。
・・・と。
そんなことに余裕ぶっていた俺だったが。
何をどうして、そうなったのか。

「そだそだ。錦くんのアルバルも見てもいい?」

「え?」

今度はアルバムフォルダーの中を。及川が興味津々、好奇心旺盛に調べようとしている。

「もしかしたらコッチで藍子ちゃんとのツーショットあったりして。」

「それだ!でかしたぞ及川。錦のアルバム、オレにも見せろっ!!」

しかも大瀬が食いつきそうなネタで、アッサリ仲間にしてしまう。

「あぁ、ちょっと・・・っ!」

アルバムフォルダー。
そこにはスマホのカメラで撮影した写真が保存されていく場所だ。
流石そこまでいじられると思ってなかった俺は声を上げて、その二人を止めようとした。
するとー・・。

「・・・・・・ッ!」

「うわっ!?」

今までの話を聞いていたのか。

「か、神崎・・・先生・・・?」

「・・・・・・。」

まだ教室にいた神崎先生が二人の間に割って入り、強引にも俺のスマホを取り上げ、救出させたのだった。

「大瀬くん、及川くん。二人ともおふざけすぎるのは、あまりよくありませんよ。」

「す、すみません・・・。」

「錦くんも。持ってくるのは校則違反ではありませんが、悪ふざけして騒がしくなってしまうのであれば話は別ですからね。」

けれど、それは俺の手には戻らず。

「今日の授業が終わるまで私が預かっておきますから。放課後になったら職員室まで取りに来てくださいね。」

尤もな台詞で三人は説教され、そのまま神崎先生に没収されてしまうのだった。

「・・・・・・。」

まさかのまさか。あの神崎先生に怒られるとは・・・。
そんなまさかの展開に及川も大瀬も逆らうことなく唖然とした表情で、教室から出て行った神崎先生を見送った。
そのおかげで興が覚めたのか。

「ご、ごめんね、錦くん。」

「なんか悪かったな。」

及川はおろか、あの大瀬まで俺に謝罪を示す。

「いや、いいよ。気にしないで。放課後になれば、ちゃんと返してもらえるみたいだから。」

「だが錦。藍子ちゃんとの件は別だからな。」

(そこは変わらないんだ。)

こうして数学の授業は終了し、次の体育の授業だ。
午後の体育は、正直かったるい・・・。
そう思う生徒も数知れずいるだろう。

「さてジャージに着替えてグラウンドに行かなきゃね。」

神崎先生の弱みを握った俺のスマホが、その神崎先生本人の手に渡ってしまった事実。
それに焦ることなく平然とした表情で更衣室に向かい、ジャージへと着替える俺。
さて、ここで問題です。
どうしてここまで冷静でいられるのか。
その答えは後ほど。



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