無限シャンプーの悪戯なんて、やられた側はたまったもんじゃないんだぞ! クソ!クソ!クソ!空も空もだ! 俺があんな話をしていた最中、ずっと陸哉の悪戯に笑ってて止めなかったってことだもんな。 手は出してないようだが、それだけでも十分共犯者。 けど何がそんなに面白かったのか。
「あははははっ。あは・・・っ・・・あは、あははははっ!」
「そんなに笑う?」
空が笑いのツボにハマり、お腹抑えて笑いっぱなし。 失礼にもほどがあるほど笑いっぱ。 しかし主犯の陸哉は、
「やっぱり鳴は、つくづくバカだな。」
「な・・・!?」
そう言って、俺に『ごめんなさい』をしないで先に寮へと帰って行った。 笑いっぱの空とは違い、バーカと俺を酷く睨み付けて・・・。
(なんだったんだ?今の陸哉。)
「鳴。着替えた?ちゃんと体拭いた?」
「へ?あぁ、うん・・・。空も笑い落ち着いたのか?」
「うん、なんとか。じゃあ僕らも寮に帰ろうか。」
なんだろう? やらかされた側なのに、何かやらかしてしまったのだろうか。
「空はいいのか?浴びてかなくて。」
「僕はいいよ。タオル1枚しか持ってきてなかったし。」
「ご、ごめん。俺が空のタオルを借りたばかりに。」
「気にしないで。僕も浸かれるうちは寮のお風呂に入っておきたいし。」
俺は何も悪いことはしてない。していないはずなのに、胸に引っ掛かるこの罪悪感はいったい何? どこからやって来て、何に対して思っているの? それすら分からない俺は、陸哉の言うとおりバカだからなのだろうか。
「鳴。・・・ごめんね。」
「あ?あー、別にいいって。無限シャンプーのことはもう怒ってないから。悪いのは全部陸哉だったし。」
そんなことを思いながらシャワー室を後にし、空と寮へと帰り、そのあとも結局いつもと一緒。いつもどおりの時間を過ごした。 それはあまりにも平穏で、ラブレターを貰った事実が掠れてしまいそうになるほど。
つづく
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