それはまたとある日の夜のこと。 学生寮にて学習時間がもうじき始まるので、それまでに飲み物を確保しておこうと、一人で自分の部屋から出てきた比路。 一階のロビーにある自動販売機までやってくると、
「お、峰岸。ちょうどいいところに来たな。」
そこにたまたまいた日暮寮長が比路に気が付き呼び止める。
「え?」
比路としては司の分も買って、さっさと部屋に戻りたい。 でも寮長に対して無視、シカト、そっぽ向くわけにはいかないので、渋々と嫌々そうに彼の元へ向かう。
「何ですか?」
けどその気持ちは、言葉にも態度にも素直に出すぎて丸わかり。
「峰岸、もうちょいだけでもいいから嬉しそうに来いって。この俺が呼んでんだから。」
もちろんそれを注意されたが、それは比路が日暮寮長を未だに警戒してる証。仕方ないと言えば仕方ないことだった。
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