ゴールデンウィークという5月の長い連休。 このお休みを利用して、どこかへ旅行する人も多いだろう。 そして青いキャップ帽を被ったこの少年も同じで、それを遠出の理由にした人の1人。 しかし彼には放浪癖があり、目的は『旅行』ではなく『家出』。 だから彼の周りには家族らしい人の姿はいない。 駅近くにあった木のベンチで、1人でポツンと座っていた。
(腹へった・・・。)
ぐぅ・・・っと鳴るお腹の虫。 何か食べたいと。何か食べ物を腹に入れてくれと、しつこく訴えてくる。
(100が2、10が3、5が1、1が・・・4。)
けれど現在の所持金は、たったそれだけ。 食べたい物は色々あるのに、これっぽっちの金では腹の要求は満たせそうにない。
(当たり前か。ほぼ移動費で消えて、こんなところまで来ちゃったもんな。)
家出の旅路も、ついにここが末となるのか。 むしろよくここまで続いたものだった。
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