小ネタ | ナノ

大嫌いな人がいます。その人は女子もうらやむようなきれいな肌にさらさらの黒髪、鼻筋の通った小奇麗な顔、冷静沈着で紳士的。優しい態度に男らしい振る舞い。帰国子女ってのもあって周りの女子がほっとかないような奴。
そんな彼、氷室辰也がわたしは大嫌いだ。

「みょうじさん、顔が赤いが熱でもあるのかい?」

そう言って心配そうにわたしの額に手を当てる。熱が無いと分かると安堵したように息をついた。お願いだから優しくしないで。触らないで。名前を呼ばないで。期待してしまうの。大嫌いな氷室君が女子と仲良くするたびに胸の奥が締め付けられるように痛むわたしは、自分が嫌いだ。
氷室君と少しでも話せただけで嬉しいと感じてしまう自分が大嫌いだ。
お願いだから嫌いなままにしておいてくれませんか。好きになって傷付くのはいやなんです。


そんなことを一人考える彼女に氷室君は気が付かない。氷室君はみょうじさんが好きだから大好きだから振り向いてほしいから。
実は氷室君から女子に近づいたことはないのです。周りが勝手に騒ぐだけ。おかげで氷室君は大好きな彼女に近づけない。それどころか嫌われちゃった。嫌われるのはいやだよ辛いよ。俺を、好きになってよ。
残念ながら氷室君の紳士スキルはみょうじさんには発揮されることもなく、氷室君は腐心して、みょうじさんは更に氷室君を嫌いになっていく。
悲しい環状、辛いループ。耐え切れなくなってばいばいさようならもう会うこともないでしょう。
そんな話はいかがですか。


いかがも何も、これか彼女の望んだ結末。望んだ最後。望んだ最期。ばいばい氷室君。

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なんだこれ……! 酷過ぎてお話になりませんね。
氷室君が好きだけどそれを認めたくない女の子を書こうとしたのに、なんだこれ……!

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