「昨日呼んだ本が凄く面白かったんです。よかったら読みませんか?」 「今日はいい天気ですね。洗濯物がよく乾きそうです。――え? 僕だって洗濯くらいしますよ」 「明日は約束通り一緒に出掛けましょう。大丈夫ですよ、部活は休みです」 「そうだ、一緒にゆで卵を作る約束がありましたね。いつにします?」 楽しそうに会話する黒子君。残念ながらその隣にはもう誰もいない。一昨日まではそこに彼女がいたのにね。彼女、どこに行ったんだろうね? 「……黒子、みょうじはもう、」 眉根を下げて一人で喋る黒子君を制したのは火神君。何を言おうとしているのかな。 「みょうじは、一昨日死んだだろ、いい加減現実を見てくれよ。お前の隣には誰もいないだろ?」 切実な火神君の願いは届かない。だって黒子君は、黒子君にだけ見える彼女に夢中だったから。 |