小ネタ | ナノ

赤司君に呼び出されたのは誰もいない空き教室。向かい合わせに座る。鋭い赤の双眸がわたしをとらえ、口を開いた。

「最近、お前が努力をしているのは知っている。だが大事なのは結果だ。
勿論お前が何も頑張らず何も考えていない訳がないというのも痛いほど分かっている。近くで見ていたからな。最初のころに比べて随分良くなったが、それでも結果なんだよ。
それだけ努力をしているならばそれなりの結果を出してくれなくては困るんだ。いつまでも桃井に頼ってばかりではいられないだろう? 頑張っていると言えば手を抜いてそれでいいという事になってしまうだろう? それでは駄目なんだ。
お前が頑張ってバスケについて勉強して、データを集めて、俺達のために動いてくれているのもよく分かる、がお前は少し要領が悪いな。努力が一向に実らない。
お前が頑張っているのはもう本当に分かるんだ。だがまだ足りないんだよ。これから先もその調子では駄目だ。
そこで一つ。これは強制ではない。――バスケ部を辞めるという事も視野に入れておいてくれないか。
桃井くらい、とまでは言わない。せめてマネージャー一人分の仕事をこなしてほしい。だからもっと頑張って、努力してくれ」

赤司君の長い長い叱責は、わたしの胸に深々と刺さった。
これでも頑張ってたつもりなんだけどなあ。要領悪くて、物覚えも悪くて、いつまでも桃井さんに助けてもらってばかりで、自分の仕事すらできないことの方が多くて。
ああ駄目だなあ。もっともっと頑張らなくちゃ。
それでも努力は一向に実らない。変なプレッシャーとなり今までできていた仕事でさえ失敗するようになった。だからもっと頑張っていっぱい勉強して、そこでようやく何故赤司君がわたしにあんな話をしたのか、練習の時間を割いてまでわたしに話したのか分かった。
つまり、バスケ部を辞めろ、と。気付いてしまった。気付かなければ良かった。わたしが必要とされていないことに。だからおしまいさようなら。もう桃井さんにも迷惑かけないから。
いや、気付いてよかったのかも。こんな自分の情けない姿を晒し続けるより良かったのかも。そう考えないと泣いてしまうよ。

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