青林檎の微熱 | ナノ

朝の賑わう教室。スクールバッグを置いて席につくと、一番に黒子に声をかけられ振り向いた。

「千夜さん、足はもう大丈夫なんですか?」
「あ、うん。もう平気」
「そうですか、良かった」

ふんわりと表情を緩める彼に心配してくれた嬉しさと、心配をかけた申し訳なさが交じり複雑な気分になった。加えて、部活を抜けてきたのだろうという迷惑をかけて千夜は黒子と目を合わせることができなかった。
チャイムが鳴ったので前に向き直り授業を受ける。朝から日本史という重い授業に眠気を誘われうつらうつらと微睡んでいるといつの間にか終了のチャイムが鳴った。同時に、教師はどんな眠気も吹っ飛ぶようなとんでもない爆弾を投下していった。
明後日は実力テストがあるからしっかり復習しておくように。
完全に忘れていた。どうしよう何も勉強してない、と一人静かに焦り、実力テストは成績に関係なかったっけ、と自己解決し誰にもテンパったことを悟られず千夜はそっと息をついた。

「こんな時期にテストなんてやるなよなー、ぜってー練習した方がいいっつーの」

誰も好きな人はいないであろう強敵、テストに火神が不満を漏らした。心の中で火神に賛同した千夜。爆弾を投下した、八つ当たりだが憎い教師が教室から出て行くのとほぼ同時に携帯が鳴った。それは千夜だけでなく、黒子と火神も同様に。

「お、カントクからメールだ」
「僕にも来てます」
「バスケ部に一斉送信されてるよ」

それぞれで確認をすると、内容は明日中間テストを全て持ってこいという、突飛なものだった。これは実力テストに何か関係があるのだろうか。悩んだところで千夜に答えは分からず、もう違う事を考えていた。

(中間テスト、どこにしまったっけ)

翌日、テストを持って行った彼らを襲う青筋を浮かべたリコがいるなんて、知る由もなかった。

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