青林檎の微熱 | ナノ

その日に限って放課後まで黒子、火神と特に話すとこもなく鞄を肩に掛け部活へ行くため体育館へ向かった。おずおずと扉を開けると、もう集まりそれぞれ準備を始めていた。

「こんにちはー…」
「おっ来たか蓮見!」

声をかけたのは眼鏡の男、日向だった。丁度、投げたボールがゴールへと吸い込まれ見事なスリーを千夜は見た。思わず見惚れているとリコが千夜に気が付き指示を出すのをやめ近づいてきた。ついでに部員に集合をかけて。

「ついでに軽く自己紹介でもしましょうか。千夜ちゃんはまだ部員の名前覚えていないでしょ?」
「あ……はい」

といっても一年生は覚えている。二年生の自己紹介を聞き、それとなく名前と顔を一致させる。眼鏡の日向先輩。髪の毛さらさらな伊月先輩。無口な水戸部先輩。猫みたいな口の小金井先輩。人のよさそうな土田先輩。あと、もう一人いるらしいが今はわけあっていないという。その人の事は千夜に限らず一年全員が知らなかった。
自己紹介を終えリコに大体の仕事内容を聞かされる。記録、備品の買出し、部員のドリンク作り、洗濯等々。意外と多くて驚いた。今までバスケをしながらそんなことまでやっていたのかと思うと、この人達はすごいなあとか客観的な千夜#だった。これからは自分がやらなくてはならないのに。バスケのルールのついては何となく予習はしてきたが、まだまだ分からないことだらけで、しばらくはリコに頼りっぱなしになることを覚悟した。
まずはドリンクを作ることになり、分量を量って人数分をまとめて作り運ぼうとすると思いの外重く足元がおぼつかない。

(もっと力つけなきゃな。主に腕力)

理想としては軽々と持ち上げられるようになりたい。腕立て伏せでもやるかと内心考えていると、ベタにも、足がもつれバランスを崩した。あ、と思った時には体が傾き、最近転ぶこと多いな、なんて呑気に考えたが、今自分の手元には大量のドリンクがある。どうしよう。
当たるはずに地面はいやに柔らかく高い位置にあった。千夜があまりにも遅いため火神が様子を見に行っていたため、火神にポフッと抱き留められる形で千夜はドリンクをぶちまけることも転ぶこともなかった。

「…大丈夫かよ?」
「かっ、かっがっみ…!」

予想外の男との密着にテンパる千夜。テンパりすぎて言葉が詰まりひたすらドモりまくる。そんな千夜を見た火神は大きな溜息を零し、気ィつけろよ。とだけ言ってドリンクをかわりに運んで配り始めた。
影からその様子をじっと見ていた黒子は珍しく不機嫌だった。

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