青林檎の微熱 | ナノ

蓮見さんがマネージャー。黒子は頭の中で何度も反芻した。もし、彼女がマネージャーをやってくれれば、きっと、今以上にバスケが楽しくなるに違いないだろう。雑務をこなすには問題ないと思われるが、ドリンクを作り配るなど部員、つまり男との接触は免れない。そのたびに部員及び火神を怖がれば尚の事面白い。最高ではないか。黒子にとって良いこと尽くし。

「是非入部してください蓮見さん」
「えっ? 黒子君落ち着いて、ホント落ち着いて。いや、あの、ちょっと待ってホント待って」
「つーかオメーが落ち着けよ」
「うるさいです、火神君」

ぎゃあぎゃあ騒ぐ一年コンビを華麗にスルーしリコは千夜に迫る。だが千夜も自分の命(大げさ)がかかっているため、中々首を縦に振らない。そこへ見かねた日向が助け舟を出す。
見学か仮入部でもしてそれから決めればいいんじゃね。
正直なところ、マネージャーは欲しい。日ごろの雑務などをマネージャーがいれば選手は練習時間を長く取れる。なるほどその手があったと期待に満ちた目でリコは千夜の手を握った。

「良い返答を待ってるわね」

これぞ無言の圧力。見学でもすれば確実に入部させられる。千夜は最後の抵抗を見せた。

「あの! 私、バスケのルールとかよく分かりませんしっ…邪魔になるっていうか、えっと、あと…」
「そんなの、時間が解決してくれるわ」

自分の入部に不満がないのか、きょろきょろと自分の味方になってくれそうな人を探すも歓迎しますオーラが感じられる。遂に千夜は折れた。カントクは女の子だし、そこそこ話せる黒子と火神もいる。なんとかなるかな、と遠慮がちに頷いた。

「じゃあ明日から一週間! 仮入部ってことでいいわね」

千夜からすれば男性恐怖症を克服するための仮入部と言っても過言ではない。バスケが好きでこの部活に入っている人に対し失礼ではないかと不安に思う。明日からの自分の振る舞いは容易に想像できてしまい、目を伏せスカートを握りしめた。

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