ついったログ | ナノ
「赤葦君、誕生日おめでと」
「どうも」
「プレゼント何がいい?」
「あなたがほしい」
「え?」

直後、腹部に鈍痛。視界が暗転した。どのくらい寝ていたのか分からないが、浮上した意識に目を開けるとそこは見知らぬ薄暗い部屋。暗闇に目が慣れて部屋を見回すと少し、いや、かなり異常だった。


壁一面に貼られたわたしの写真。撮られた覚えの無いものばかり、カメラ目線のものはほとんどないことから、盗撮されたものと気が付いた。何だこの部屋は。一瞬にしてここにいてはいけない、と頭の中で警鐘が鳴る。速く、逃げなくては。立ち上がりドアに手を伸ばすと向こう側から開けられた。


びくりと身構えれば、入って来たのは赤葦君だった。

「あ、赤葦君? ここどこ?」
「俺の部屋だけど」
「じゃあ、あの、この写真、何?」
「あなたを盗撮した写真」

盗撮、やっぱり。赤葦君が? わたしを? 何故そんなことを。目の前の彼は本当に赤葦君なんだろうか。こんな虚ろな目をした彼は知らない。


「だって、ずっと好きだったんだ。どこに居ても何をしていても、いつも見てたんだ。あなたがずっとほしくて、写真だけじゃ足りなくて、やっと分かったんです、こうやって閉じ込めれば、あなたは俺だけを見てくれるって」

やっと、本物が手に入った。ニタリ、綺麗な表情を歪めて笑っていた。


「誕生日何がほしい?」「お前がほしい」なんて、そんな薄ら寒い台詞言えません。いや言ったけど。多分意味が違う。例え心が手に入らなくても一緒にいれば絆されることだってあるでしょう? だからいつか彼女は俺のモノになる。絶対に。だから、いいんです。幸せです。最高の誕生日です
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