及川さんに好きだと告げた。結論から言えば彼はわたしのことなど好きではない。けれどどうしても諦められないわたしは最後にとデートを頼み込む。これで諦めるから、好きでいるの止めるからと。彼が快諾してくれたのがなんだか悲しい。最初で最後のデート。ごめんね、今日もあなたのことが大好きでした。
及川さんは人気者だ。強豪校の主将で顔も格好いい。よくおモテになる。彼のファンは多くわたしもその一人。渡すことのないお守りやお菓子ばかり増えていく。それが悲しくて、彼を追いかけるのをやめた。勝手に恋して勝手に失恋しただけ。わたしがいないことに気付かないで。…うそ。気付いて、よ
女子たちに「うざい」「ブスのくせに」「調子乗ってる」「キモい」って言われても堪えることができたの。傷付いてないわけないよ。痛いんだよ。それでも泣かずにいられたのは及川君のお陰だよ。でも、その及川君から今までで一番傷付く言葉を言われたの。それはとても単純な言葉でした。
「きらい」
一世一代の告白でした。ありったけの想いを込めた告白でした。バレー一筋のあなたのことだからきっと叶わぬ恋なんでしょう。それでもほんのちょこっと、もしかしたらと期待して。
「すきです」
そしたら及川君は顔を顰めて勘弁してくれと、そういうの迷惑と言いました。そう、言われ、ました。