大好きなあの子が暗い夜道を一人で歩いて帰るから、心配になるのは当然でしょ?だから、おれ、いっつも彼女を家まで送ってあげてるの。おれの家と反対方向なんだけどね。そしたら彼女、急に走り出して、一度も振り向いてくれないし、おれ、自転車押してるのにひどいなあ
日向君がハイライトのない虚ろな目をして迫って来る。右手にはカッター。怖い。彼の左手がわたしの腕を掴む。
「返事、もう決まった?」
わたしは二日前彼に告白をされた。返事もその場でした。答えはまずは友達から、と言ったはず。
「ね、返事聞いてもいい?」
拒否権は無いようです。
からの別れを切り出すと、
え…? なに? わかれたい? やだよ。いや、嫌だやめて、聞きたくない聞きたくない聞きたくない聞きたくない! なんで? なんでそんなこと言うの? 君はそんなこと言う人じゃないって、おれ知ってるよ? …あ、そうか。君、偽物なんだ。あの子をどこに隠したの?
頭のネジぶっ飛んだ日向君に焦点の合わない目で「くくっ、くけけけけけけ」って笑ってほしい