影山幼馴染みは及川さんに嫌われちゃって北一1年の頃はそれはそれはひどかった。ルールは分かってるとは言え慣れないマネージャー業に四苦八苦しながら取り組んでいる。
「飛雄ちゃんと仲良いの気に入らない」
そこに恋愛感情なんかなくて、興味本意の小さなイジワル
及川があまりにも影山にだけ態度が違って見かねた彼女が声をかけた。
「あの…及川さん、影山君にもサーブのコツとか、えと、」
なんて先輩相手だから恐縮しながら話しかけてきて、それが面白かったからついイジワルてしまう。
「ねえ、最近やたら部員に声かけてるようだけど」
「もしかして男バレー部入ったのって男目当て?それともチヤホヤされたかったの?」
彼女は少し驚いた様子であ、とかう、とか溢す。違いますとはっきり言えないのは口下手故か。ふーんと及川は沈黙を肯定として受け取った。
「そんな理由で部活に来られてもね」
冷たい言葉が刺さる
影山幼馴染みは人をよく見ている。観察眼が鋭く小さな変化も見落とさない。この人は今日調子が良さそう、この人は隠しているけど顔色が悪い。具合が悪いなら休んだ方がいい。など話すことが多い。また今日も。
「国見君、大丈夫?」
「ん、ああ、少し寝不足」
心配無いと彼は言う
「ね、国見ちゃんも話しかけられてたよね。彼女、なんて?」
「及川さんには関係無いことです」
「もしかして逆ナンとか?」
「…はぁ?」
そんなわけ、ないだろう。彼女は気にかけてくれただけだ。多分他の奴もそう。この人はとことんあの天才の幼馴染みが気になるようだ。