ついったログ | ナノ
あの子を見ていると砂糖菓子みたいな甘くてふわふわした感情。大事に大事に育てて、もて余した。君の隣に立つのはおれだと信じて、なのに。君は今日、彼氏ができたと嬉しそうにおれに話すんだ。口から出たのは心のこもらないオメデトウ。だけど君は、「ありがとう日向君!」


「あ、日向君そのペン」
「これ?」
「うん、お揃いだね。ほら」

おれの使っていたペンを見て君は笑った。ペンケースの中から同じ物を取り出そうとして、手が止まる。

「…あれ、ない。家に置いてきちゃったかな」

君がペンを持ってるわけがない。だってこれ、君のだもん。

「消しゴムがない」
「おれの貸したげる」
「助かるよ日向君」
「イエイエ!」
「あ、消しゴムもお揃いだね」
「本当?これはもしや運命では…!?」
「ふふ、日向君が運命なんて言うんだ」
「にゃにおう!」
「ごめんごめん、ありがとね」

君に貸した消しゴムの本当の持ち主は


だって、君はおれのモノになってくれないんだから、これくらいは許される、よね?ペンの1本くらい。消しゴムの1つくらい。でも、そうだなあ。欲を言えば君の体の一部がほしいなあ。なんて考えた放課後。オレンジ色に染まる教室にうたた寝をする君。おれの手には鈍く光る鋏


君の綺麗な髪を全て切ってしまったらきっと傷付いて泣いてしまうよね。根元の方から鋏を入れて一束切り落としポケットに大事にしまう。瞬間、試合に勝ったかのような歓喜が体の底から沸いてきて呼吸が荒くなる。そこで君は目を覚ました。

「日向君、何してるの?」
「忘れ物!」


「日向の奴、どうしたんだ?今日はやけにご機嫌だな」
「そうですか?」
「なんか周りに花が飛んでるようにも見えるな」
「随分乙女チックな表現だなあ」
「日向ー! なんか良いことでもあったのか?」
「はい! ずっと欲しかったものが手に入って、もう嬉しくて嬉しくて!」


「最近、物がよくなくなるんだ」

不安そうに君は相談してきた。

「こんなこと相談されてもって思うかも知れないけど、日向君に相談するといつも解決するから」

彼氏ではなく、おれに。優越感に似たものがぞくぞくと背筋を走る。

「おれで良ければ何でも聞くから、元気出して」


家に帰って机の引き出しをあける。そこには一束の長い髪。櫛で解かして可愛いリボンでまとめた。本当はこのリボンを君にあげようと思っていたのに。それは叶わなくて。だけどもういいんだ。君の髪はおれの手元にあるんだから。

「翔陽ーご飯できたよ」
「今行く!」

大事にしまった

「なあ日向、ちょっといいか」
「なに?影山」
「あいつから相談されただろ、物が無くなるって」
「ああ、うん」
「それで気になったんだけどよ、あいつの無くした物と同じの日向も持ってるんだってな」
「影山君は何が言いたいの?」
「まさかとは思うけどお前じゃない、よな?」
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