影山君の好きな先輩には彼氏がいました。残念ですね、付け入る隙なんてありません。でもあれ様子がおかしいな先輩ちょっとおかしいな何で好きな男と居るはずなのに俯いて泣きそうな顔あれおかしいな先輩あれれ隣の男は彼氏でしょう? なんで、なんで、殴られてるの? その赤いの、なに? あれ彼氏がいない
「先輩の馬鹿。くそボゲ。ボゲ。ばーかばーか、救いようのないボゲです。目も当てられません」
「影や」
「今俺が話してるんで」
「す、すみません?」
「何なんですか、この様は。心底笑えます」
「影山君の笑顔は怖いなあ」
「じゃあその笑顔で四六時中見つめますよ」
「それはご勘弁願いたいかな」
「むしろ最初からそうしておけば良かったんだ。俺、何度もあいつだけはやめておけって言ったのに。俺の話聞かない先輩が悪いんです」
「うん、」
「でぃーぶい? されるって分かってたんでしょう! 本当にボゲだ。そのあげく、なんですか? 散々遊ばれてポイ捨てされたんですか? ざまぁないですね。だから俺何度も言ったでしょ。何で、何で分かってくれなかったんだ!」
「うん」
「血だらけ痣だらけで! 馬鹿か! 俺より単細胞なんじゃないですか!!」
「そうだね」
「あいつはやめろて何度も! 先輩はどうしようもないボゲですね!」
「本当にねぇ。でも好きだったんだよ、どうしようもなく」