隠恋慕 | ナノ

今回は散々だった。宝は持っていかれるし、万田は殺されるし、黒羽さんは糸目に怒りを抑えきれていない。そしてなにより蝶左さんが医者に殴られた。……ああ、今思い出しても忌々しい。
槍を持っていていれば怪しまれると思い置いて行ったのが間違いだった。わたしが、わたしがあの猫目に気を付けていれば万田は。なんてね。
やっぱり、わたしには仲間じゃないなんて割り切るのはできないのかな。

鬱陵島から脱出して、黒羽さんが船で逃げるようだったから不本意だったけれど海に飛び込んだ。船に着地できればのよかったのだけど、そう上手くはいかなかった。盛大な水しぶきを上げ着水。

「蝶左さっ……たす、助けっ…泳げな、」
「はぁ!? お前泳げねーのか! 溺れてんじゃねーよ。烏頭目、手ェ貸せ。引き上げんぞ!」
「ぶはぁっ! だっせ!」

烏頭目に大笑いされながらも船に引き上げられた。何だかんだ言って助けてくれる二人に心の中で感謝しながら島を出た。

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「見えない臓器の名前は」
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