いや、照れてるだけだよ

 俺の妹、莉奈はツンデレだ。

 話しかけようとすると、

「こっちに来ないでよ!女男!」

 など、言葉を返しても暴言ばかり出てくる。

 だが、まだ言葉を返してくれるならまだいい。酷いときには口を全く聞いてもらえないなんてあった。(あの時は死ぬかと思った。)

 まぁ、このツンデレは莉奈の個性の一つなので愛しく思っているが。




「莉奈〜〜〜!!!」

「むぎゅっ」

 昼休み、友達を話している莉奈を見つけて思いっ切り抱きしめた。

 というか、むぎゅって…、可愛い。

「ちょっと!ばっかじゃないの!?」

 思わず心の声を漏らしていたみたいだ。でも、照れているところも可愛いな…。

「いちいちそんなこと言わなくていいから!どっか行ってよ!友達と話してるんだから。」

 ええ〜、俺は莉奈と話したいのにな…。

「莉奈を連れて行ってもいいかい?」

 俺は微笑みながら莉奈の友達とやらに了解を得よう聞いた。

「ど、どうぞ…。」

 と、少し赤くなりながら答えた。

「というわけで行こうか、莉奈。」

「えっ!?ちょっと、え…、ええ!?」


 驚いている莉奈の手を捕まえて屋上へと向かった。






「…、ねぇ。一体どういうつもり?」

 屋上に着いてから莉奈が聞いてきた。

「どういうつもりって?」

「だーかーらー、何で邪魔するのよ!折角新しい友達ができたっていうのに…。いっつもそう!友達と話してたら割り込んできて邪魔をする。それから女の子がお兄ちゃんを目当てに私に近寄ってくる…。こんなんじゃいつまでたっても友達なんてできやしない!」

「莉奈…。」

「もう、金輪際学校で私に話しかけないで。」

 莉奈はそう言って屋上を後にしようとしたが、

「待って!」

 俺は莉奈の手首を捕まえて引き止めた。

「ごめん…。俺、莉奈の気持ちを考えていなかった。もう、重みになるくらいならもう話さないよ…。」

 反省はしている。でも、莉奈が好きなだけなのに…。

 そう思うと視界がぼやけて見えた。

「え、あの…、えっと…、少し…、だったら…。」

「えっ?」

 よく聞き取れなかったので聞き返した。

「だから、誰もいなかったら少しくらい、話してもいいよ…。」

「ほ、本当!?」

「に、二度も言わないからねっ!」

 頬を赤く染めながら俺と同じ青い髪を翻して屋上を後にした。

「ほんっとに…、」

 ツンデレなしでは莉奈は語れないな…。そう、思った。

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